コラム 港湾における洋上風力発電の導入
我が国では、長期エネルギー需給見通し(平成27年7月経済産業省)において、2030年の電源構成のうち再生可能エネルギーが22〜24%と見込んでおり、これに向けて政府全体で再生可能エネルギーの導入に向けた取組みを進めています。
このうち洋上風力発電については、洋上は陸上に比べて強く安定した風が吹くことから設備利用率が高いなどの利点があります。また、洋上は風車の大きさに関する制約が少ないことから陸上よりも大型の風車の設置が可能です。5メガワット(年間発電量約1,300万kWh、一般家庭約4,210世帯分に相当)級の洋上風力発電施設は、ブレードの最高到達点は約150m、回転翼の直径は約130mに達する非常に大型の施設となります。港湾は、洋上風力発電の導入適地として有望視されており、ここでは、各港の導入に向けた取組みを紹介します。
■北九州港の取組み
北九州市は、平成28年8月より北九州港内の水域(約2,700ha)を対象に、洋上風力発電事業者の公募を開始しました。これは、改正港湾法による占用公募制度による全国初の実施例です。同市は、響灘地区の広大な産業用地や充実した港湾施設などのポテンシャルを活かし、産業の裾野が広く雇用創出効果が高い風力発電をターゲットに据え、あらゆる機能が集積した「風力発電関連産業の総合拠点」の形成などを目指した「グリーンエネルギーポートひびき」事業を22年度より推進しています。同市は第三者評価委員会による審査や評価を参考に、事業実施の確実性や港湾・地域への貢献の観点から、29年2月、ひびきウインドエナジーを占用予定者として選定しました。同者の計画によると、総事業費は約1,750億円、5メガワット級の洋上風力発電施設を最大44基設置し、34年度より着工し、順次運転が開始される予定です。