第7節 地球環境の観測・監視・予測

コラム 地球温暖化予測情報第9巻の刊行

 気象庁は、地球温暖化の緩和策や適応策の検討に資すること、また、地球温暖化に係る科学的知識の普及を目的に、平成8年度より、数値モデルによる地球温暖化の予測結果を「地球温暖化予測情報」として公表している。29年3月には、文部科学省委託事業である気候変動リスク情報創生プログラムによる予測結果を用い、最新となる「地球温暖化予測情報第9巻」(以下、「第9巻」とする)を取りまとめ公表した。
 「第9巻」では、防災上の意識を高める観点等から、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が想定する温室効果ガスの排出シナリオのうち、最も高い水準で温室効果ガスの排出が続くシナリオ(RCP8.5シナリオ)に基づき行った予測について、年による変動の幅や信頼度の評価結果を加えて提供している。
 その中では、21世紀末頃の日本は20世紀末頃と比べて、年平均気温が地域によって+3.3〜+4.9℃と大幅に上昇するほか、猛暑日(日最高気温35℃以上)の日数が大幅に増加、真冬日(日最高気温0℃未満)の日数が大幅に減少すると予測している。また、日降水量200mm以上の大雨の日数は2倍以上、滝のように降る雨(1時間降水量50mm以上の短時間強雨)の回数も2倍以上になるなど、大雨や短時間強雨の頻度は全国的に増加すると予測している。一方、無降水日数も全国的に増加すると予測しており、水資源管理等への影響も考えられる。降雪については、本州日本海側で大きく減少すると予測しているが、一方で、21世紀末においても20世紀末と同程度の降雪量となる年もあると予測していることから、大雪への備えも引き続き必要である。
 
20世紀末を基準とした21世紀末頃における気温・降水量の変化の予測


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