第7章 安全・安心社会の構築
第1節 ユニバーサル社会の実現
■1 ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー化の実現
「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方を踏まえた「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」により、施設等(旅客施設、車両等、道路、路外駐車場、都市公園、建築物等)の新設等の際の「移動等円滑化基準」への適合義務、既存の施設等に対する適合努力義務を定めるとともに、「移動等円滑化の促進に関する基本方針」において、平成32年度末までの整備目標を定め、バリアフリー化の推進を図っている。
また、市町村が作成する基本構想に基づき、重点整備地区において重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進しているとともに、バリアフリー化の促進に関する国民の理解を深め、協力を求める「心のバリアフリー」を推進するため、高齢者、障害者等の介助体験や疑似体験を行う「バリアフリー教室」等を開催しているほか、バリアフリー施策のスパイラルアップ(段階的・継続的な発展)を図っている。
こうした中、「バリアフリー法」を取り巻く環境の変化、また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした、共生社会の実現を目指し、全国において更にバリアフリー化を進めるため、平成30年2月、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を国会に提出した。
具体的には、1)公共交通事業者等によるハード対策及びソフト対策の一体的な取組を推進するための計画制度の創設、2)バリアフリーのまちづくりに向けた地域における取組を強化するための移動等円滑化促進方針制度の創設、3)更なる利用しやすさ確保に向けた取組の充実を図るための一般貸切旅客自動車運送事業者等をバリアフリー法の適用、建築物等を含む幅広いバリアフリー情報の提供、障害者等の参画の下での施策内容の評価等を行う会議の創設等の措置を講ずることとしている。
(1)公共交通機関のバリアフリー化
「バリアフリー法」に基づき公共交通事業者等に対して、旅客施設の新設・大規模な改良及び車両等の新規導入の際に移動等円滑化基準に適合させることを義務付け、既存施設については同基準への適合努力義務が課されているとともに、その職員に対し、バリアフリー化を図るために必要な教育訓練を行うよう努力義務を定めている。さらに、旅客船、鉄道駅等旅客ターミナルのバリアフリー化やノンステップバス、リフト付きバス、福祉タクシーの導入等に対する支援措置を実施している。更に移動等円滑化基準については、鉄軌道駅におけるバリアフリー化された経路の複数化、駅等の旅客施設におけるバリアフリー化された経路の最短化、エレベーター設置の際に高齢者、障害者等の利用状況を考慮して台数や大きさを決定すること等を内容とする改正を平成30年3月に行った。