第4章 地域活性化の推進
第1節 地方創生・地域活性化に向けた取組み
少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくため、政府としては平成26年11月に成立した、「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、30年においても「まち・ひと・しごと創生基本方針2018」の策定及び「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を改訂するなどの取組みを行ってきた。また、地方創生の深化のために、空き店舗等の遊休資産の活用や地方大学の振興等を目的とした法律の改正・制定を行うとともに、地方公共団体に対して、地方版総合戦略に基づく具体的な取組みの推進のための情報支援、人材支援、財政支援を行っている。
持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取組みは、地方創生の実現に資するものであり、平成30年2月から3月にかけて、地方公共団体(都道府県及び市区町村)によるSDGsの達成に向けた取組みを公募し、同年6月に、優れた取組みを提案する都市をSDGs未来都市として29都市選定し、特に先導的な取組みを自治体SDGsモデル事業として10事業選定した。SDGsの推進に当たっては、多様なステークホルダーとの連携が不可欠であることから、平成30年8月に、官民連携の促進を目的として「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」を設置し、マッチング支援や分科会の立ち上げなどの取組みを実施した。また、平成31年2月には、国内外へ向けたSDGs未来都市等の取組みの普及展開を図ることを目的に、第1回地方創生SDGs国際フォーラムを開催した。さらに、地域課題の解決を図りながらキャッシュフローが形成される「自律的好循環」の形成を目指し、「地方創生SDGs金融スキーム」の構築に向け検討を行った。
平成31年3月には、「高度成長期型まちづくり」からの転換を図り、人口減少社会に対応した「まち」へ再生するための地域住宅団地再生事業及び民間資金等活用公共施設等整備事業の創設、地方への移住促進に向け、移住者視点での情報提供を充実するための既存住宅活用農村地域等移住促進事業の創設を内容とする「地域再生法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出した。
地方創生を規制改革により実現するため、国家戦略特区制度については、これまでに医療、保育、雇用、教育、農業、都市再生・まちづくり等の幅広い分野において、いわゆる岩盤規制改革を実現してきた。また、合計10の指定区域において計315の事業が実施されるなど、これらの規制改革事項を活用した具体的事業が目に見える形で進展してきている。更に、第4次産業革命を体現する最先端都市「スーパーシティ」構想の実現に向けた有識者懇談会を開催し、2月に最終報告を取りまとめ、必要な制度整備や技術的基盤の整備の検討等に取り組んだ。
国土交通省においては、観光地域づくり法人(DMO)を核とする観光地域づくり、多様な地域のコンテンツづくりや受入環境整備を進め、地方創生の礎ともなる質の高い観光先進国を実現するとともに、地域経済を支える建設業、造船業、運輸業等の担い手確保・育成を推進するなど、地方の「しごと」をつくる取組みを進めている。
また、「まち」を活性化するため、地方都市における都市のコンパクト化と交通ネットワーク形成の推進や中山間地域等における「小さな拠点」の形成、大都市圏郊外における地域包括ケアシステムと連携した多世代対応型の住宅・まちづくりの展開に取り組むとともに、地方への新たな「ひと」の流れをつくるため、二地域居住の本格的推進や既存住宅の流通促進等による住み替えしやすい環境整備を行っている。
都市再生については、民間活力を中心とした都市の国際競争力の強化等を図るための都市再生の推進及び官民の公共公益施設整備等による全国都市再生の推進に取り組んでいる。