第2節 地域活性化を支える施策の推進

■4 広域ブロックの自立・活性化と地域・国土づくり

(1)対流促進型国土形成のための国土・地域づくり
 地域の活性化及び持続的な発展を図るため、地域の知恵と工夫を引き出しつつ、総合的に施策を展開することが重要である。そのため、国土形成計画(全国計画及び広域地方計画)に基づき、対流を全国各地でダイナミックに湧き起こしイノベーションの創出を促す対流促進型国土の形成を目指し、重層的な国土構造、地域構造の形成を図りつつ地域の特性に即した施策展開を図っている。また、地域活性化のための官民連携による戦略や民間活動を支える基盤整備の推進に対する国の支援、多様な主体の協働による自立的・持続的な地域づくりを進めるための施策について取り組んでいる。

1)広域的地域活性化のための基盤整備の推進
 自立的な広域ブロックの形成に向け、広域にわたる活発な人の往来又は物資の流通を通じた地域の活性化を図るため、平成30年度においては、35府県が、2〜3府県ごとに協働して35の共通目標を掲げ、延べ77の府県別の広域的地域活性化基盤整備計画を作成しており、同計画に基づくハード・ソフト事業に対して、交付金を交付した。

2)官民連携による地域活性化のための基盤整備推進支援事業
 官民が連携して策定した広域的な地域戦略に資する事業について、民間の意思決定のタイミングに合わせ、機を逸することなく基盤整備の構想段階から事業実施段階への円滑かつ速やかな移行を図るため、平成30年度においては、地方公共団体が行う概略設計やPPP/PFI導入可能性検討といった事業化に向けた検討に対して、24件の支援を行った。

3)多様な主体の協働による地域づくりの推進
 地方部における多様な主体の協働による自立的・持続的な地域づくりを促進するため、事業型の地域づくり活動(地域ビジネス)を生み育てるための多様な主体が連携した支援体制の構築を推進している。

4)連携中枢都市圏等による活力ある経済・生活圏の形成
 一定規模以上の人口・経済を擁する都市圏においては、経済成長のけん引、高次都市機能の集積・強化及び生活関連機能サービスの向上の実現を目指す「連携中枢都市圏」の形成を促進している。
 対象の都市圏は、地方圏の政令指定都市・中核市(人口20万人以上)を中心とした都市圏であったが、まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015改訂版)において、一定の条件の下、隣接する人口10万人程度以上の2つの市を中心とした都市圏(複眼型)も追加され、平成31年3月末時点で合わせて31圏域が形成された。

(2)地域の拠点形成の促進等
1)多様な広域ブロックの自立的発展のための拠点整備
 「多極分散型国土形成促進法」に基づく業務核都市注1において、引き続き、業務施設の立地や諸機能の集積の核として円滑に整備が実施されるよう、必要な協力を行っている。さらに、「筑波研究学園都市建設法」に基づき、科学技術の集積等を活かした都市の活性化等を目指し、筑波研究学園都市の建設を推進しているほか、つくばエクスプレス沿線で都市開発が進む中、研究学園都市の特性を活かした環境都市づくりに取り組んでいる。また、「関西文化学術研究都市建設促進法」に基づき、文化・学術・研究の新たな展開の拠点形成を目指すため、「関西文化学術研究都市の建設に関する基本方針」を踏まえ、関係省庁、地方公共団体、経済界等との連携のもと、関西文化学術研究都市の建設を推進している。

2)集落地域における「小さな拠点」づくりの推進
 人口減少や高齢化の進む中山間地域等では、買物、医療等の生活サービス機能やコミュニティ機能が維持できなくなりつつある地域がある。このため、小学校区等複数の集落を包含する地域において、必要な機能や地域活動の拠点を歩いて動ける範囲に集め、周辺の集落との交通ネットワークを確保した「小さな拠点」の形成を推進している。
 具体的には、遊休施設を活用した生活サービス機能等の再編・集約について支援するとともに、関係府省とも連携して普及・啓発等の取組みを推進している。

3)国会等の移転の検討
 「国会等の移転に関する法律」に基づき、国会等の移転に関連する調査や国民への情報提供等、国会における検討に必要な協力を行っている。

(3)所有者不明土地への対応
1)所有者不明土地の利用の円滑化等に向けた取組み
 所有者不明土地が全国的に増加し、公共事業の推進等の場面において円滑な事業実施に支障が生じていることを踏まえ、所有者不明土地を地域住民のための事業に一定期間使用できる制度の創設、所有者探索の合理化等を講じる「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が平成30年6月に成立した。また、同法の制定と合わせ、公共事業における事業認定の円滑化のための「事業認定申請の手引き」注2を公表するとともに、市町村等への支援のため、各地方整備局等で「所有者不明土地連携協議会」を設置した。

2)所有者不明土地の解消・発生抑制に向けた取組み
 所有者不明土地の解消・発生抑制に関しては、平成30年6月に所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議で決定された「所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針」注3に基づき、関係行政機関の緊密な連携の下で推進することとされた。国土交通省では、国土審議会土地政策分科会特別部会において、人口減少社会における土地に関する制度のあり方について検討を行い、所有者が土地の利用・管理について第一次的な責務を負うことを明らかにした上で、それが困難な場合に地域等が行う利用・管理には公益性があり、そのために所有権は制限され得ることを明らかにし、利用・管理の支援やその法的障害の解消のための施策を講じることとしたとりまとめを31年2月に公表した注4。また、同分科会企画部会国土調査のあり方に関する検討小委員会において、一部の所有者が不明な場合を含めて地籍調査を円滑かつ迅速に進めるための措置等について検討し、所有者の所在が不明な場合等に、筆界案の公告等により調査を進める方策などについて中間とりまとめを同年2月に公表した注5


注1 東京都区部以外の地域で、その周辺の相当程度広範囲の地域の中核となるべき都市(14拠点)
注2 http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/land_expropriation/sosei_land_fr_000476.html
注3 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shoyushafumei/dai2/policy.pdf
注4 http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/totikensangyo02_sg_000137.html
注5 http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/totikensangyo06_sg_000047.html


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