第5節 北海道総合開発の推進

第5節 北海道総合開発の推進

■1 北海道総合開発計画の推進

(1)北海道総合開発計画の推進
 我が国は、北海道の優れた資源・特性を活かしてその時々の国の課題の解決に寄与するとともに、地域の活力ある発展を図るため、北海道の積極的な開発を行ってきた。
 計画期間をおおむね令和7年度までとする第8期の北海道総合開発計画は、平成28年3月に閣議決定され、「世界の北海道」を形成すべく、「人が輝く地域社会」、「世界に目を向けた産業」、「強靱で持続可能な国土」を目標として掲げ、諸施策を進めている。
 
図表II-4-5-1 北海道総合開発計画の概要
図表II-4-5-1 北海道総合開発計画の概要

 具体的には、「観光先進国」実現をリードする世界水準の観光地の形成」、「食料供給基地としての持続的発展」を重点的に取り組む事項として、目指す姿や行動の指針となる数値目標を設定し、関係者で共有しながらフォローアップを行い、本計画を踏まえ北海道開発を着実に推進している。

(2)計画の実現を支える施策の推進
 本計画は、本格的な人口減少時代の到来、グローバル化の更なる進展と国際環境の変化、大規模災害等の切迫といった我が国をめぐる諸課題に中長期的な視点で対応するため、策定されたものであり、次のような施策を進めている。

1)人が輝く地域社会
 北海道の「生産空間」は、他地域とはスケールの異なる広域分散型社会を形成しており、戦略的産業である「食」と「観光」を担っている。
 一方で、全国に先行した人口減少・高齢化の急速な進展等により、その維持が困難となるおそれがあることから、生産空間から都市部に至るまで人々が住み続けられる地域社会構造の確立を図るとともに、多様な人々を引きつけ、活発な対流を促進することが重要である。
 このため、生産空間の維持・発展に向けたモデル圏域での検討及びその取組みの全道展開を進めているほか、定住・交流環境の維持増進等に向けた取組みとして、高規格幹線道路網等の広域的な交通ネットワークの形成、「道の駅」や「みなとオアシス」の機能強化等を進めている。あわせて、多様な人材の緩やかな「つながり」とコミュニケーションの「ひろがり」を促進する「北海道価値創造パートナーシップ活動」の展開等を進めている。

2)世界に目を向けた産業
 北海道は、農林水産業、食・観光関連産業などの移輸出型産業に比較優位があり、これらを戦略的に育成することが重要である。
 このため、農地の大区画化や漁港の高度衛生管理対策等による農林水産業の生産力・競争力強化、北海道産食品の中小口輸出支援体制の拡充等による「食」の海外展開、景観・地域・観光空間づくりに取り組む「シーニックバイウェイ北海道」や外国人ドライブ観光、国際会議等(MICE)の北海道開催、クルーズ船の受入環境整備、新千歳空港の機能強化、港湾における農水産物輸出促進基盤の整備等を進めている。

3)強靱で持続可能な国土
 美しく雄大な自然環境を有し、再生可能エネルギー源が豊富に賦存する北海道は、持続可能な地域社会の形成に向け、先導的な役割を果たすことが期待されている。また、安全・安心の確保は、経済社会活動の基盤であり、災害発生時の被害を最小化するとともに、我が国全体の強靱化に貢献することが重要である。
 このため、湖沼、湿原等の保全・再生、「北海道水素地域づくりプラットフォーム」を通じた水素社会形成に係る普及啓発、平成28年8月の一連の台風や平成30年7月豪雨による被害を踏まえた治水対策や、30年9月に発生した平成30年北海道胆振東部地震等からの復旧・復興並びに国土強靱化を推進するため設置した「北海道局復興・強靱化推進本部」における取組みを始めとするハード・ソフトを総動員した防災・減災対策、社会資本の老朽化等に対応するための戦略的な維持管理・更新、冬期における交通の安全性・信頼性の向上のための取組み等を進めている。


注 北海道型の地域構造において、広大な農地や豊富な水産・森林資源を強みとして、我が国の食料供給基地として貢献するとともに、豊かな自然環境、特徴ある景観等を提供している地域を指す


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