■3 自動車・船舶のリサイクル
(1)自動車のリサイクル
「使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)」に基づき、使用済自動車が適切にリサイクルされたことを確認する制度を導入している。また、「道路運送車両法」の抹消登録を行う際、自動車重量税還付制度も併せて実施し、使用済自動車の適正処理の促進及び不法投棄の防止を図っており、平成28年度においてリサイクルが確認された自動車は1,367,951台である。
(2)船舶のリサイクル
船舶解体(シップ・リサイクル)注1は、インド、バングラデシュ等の開発途上国を中心に実施されており、労働災害と環境汚染等が問題視されてきた。この問題を国際的に解決するため、我が国は世界有数の海運・造船国として国際海事機関(IMO)における議論及び条約起草作業を主導し、「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約」(シップ・リサイクル条約)が採択された。
我が国は、条約の責務を担保するため「船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律」を平成30年6月に公布し、31年3月に条約を締結した。同法は、同条約の発効に合わせて施行されることになっている。
同条約の早期発効に向け、我が国は、主要解体国であるインドの早期締結を促す取組みとして、インドのシップ・リサイクル施設改善を支援している。平成29年及び30年の日印首脳会談においても、安倍首相からモディ首相に対し早期締結を呼び掛け、インドの早期締結の意思を再確認している。
同条約の発効要件は、1)15か国以上が締結、2)締約国の商船船腹量の合計が40%以上、3)締約国の直近10年における最大年間解体船腹量の合計が締約国の商船船腹量の3%以上であるところ、平成31年3月末時点の充足状況はそれぞれ1)10か国、2)23.4%、3)0.32%注2となっている。
一方、プレジャーボートの船体はFRP(繊維強化プラステック)製であるためリサイクルが非常に難しい。このため、(一社)日本マリン事業協会が主体となり、廃棄物処理法に基づく広域認定制度を利用した「FRP船リサイクルシステム」が構築され、FRP船をセメント焼成材料としてリサイクルすることが可能となった。現在では、当該システムにより、全国で年間約500隻がリサイクルされている。