第4節 健全な水循環の維持又は回復
■1 水の恵みを将来にわたって享受できる社会を目指して
近年、我が国の水資源を巡っては、危機的な渇水、地震等の大規模災害、水インフラの老朽化に伴う大規模な事故等、新たなリスクや課題が顕在化している。
これらを背景として、「需要主導型」の水資源開発の促進から「リスク管理型」の水の安定供給へ水資源政策の転換を進めている。
平成29年5月の国土審議会からの答申を受け、我が国人口の約5割が集中する7水系の水資源開発基本計画の抜本的な見直しに着手することとした。7水系の中でも渇水が頻発するなど、リスク管理型への転換が特に急がれる吉野川水系について、30年2月より抜本的な計画変更に向けた審議を先行して開始した。30年度は、国土審議会水資源開発分科会及び吉野川部会での審議を重ね、社会経済情勢や水供給過程で生じる不確定要素等を考慮した水需要想定手法の改善、危機的な渇水時における水需給バランスの点検及びその際の対策等を含む基本計画案の立案を行った。新たな計画は、31年4月に閣議決定を経て、国土交通大臣決定した。
この見直しによって、既存施設の徹底活用によるハード対策と合わせて必要なソフト対策の一体的な推進が図られ、危機時において必要最低限の水が確保されることが期待される。