第1節 インフラシステム海外展開の促進

コラム トップセールスの精力的な推進

 平成30年度中、国土交通大臣・副大臣・大臣政務官は、相手国の政府要人に対して我が国インフラシステムのトップセールスを行いました。

(1)石井大臣のフィリピン・シンガポール出張
 平成30年4月から5月にかけて、石井国土交通大臣はフィリピン及びシンガポールを訪問し、各国要人との会談を行いました。
 
ビリヤール大臣との会談の様子
ビリヤール大臣との会談の様子

 フィリピンでは、ツガデ運輸大臣、ビリヤール公共事業道路大臣と会談しました。その中でマニラ首都圏地下鉄や南北通勤鉄道等の鉄道事業、マニラ環状3号線道路建設事業等の道路事業、パラニャーケ地下放水路事業等の治水事業等の協力について幅広く意見交換を行いました。ビリヤール公共事業道路大臣との会談後、公共事業道路省との間で、「社会資本整備に関する技術協力覚書」を締結し、今後、同覚書に基づき両国の協力関係を一層強化していくことを確認しました。また、パッシグ・マリキナ河川改修事業(フェーズ3)の竣工式典、プラリデルバイパス建設事業(フェーズ2)の竣工式および同事業(フェーズ3)の起工式典に出席しました。
 シンガポールでは、コーインフラ統括兼運輸大臣と会談しました。会談においては、シンガポール・クアラルンプール間を結ぶ高速鉄道プロジェクトを中心に港湾・航空分野等における協力について幅広く意見交換を行いました。

(2)高橋国土交通大臣政務官の南アフリカ共和国出張
 30年5月、高橋国土交通大臣政務官は、28年9月に立ち上げた「アフリカ・インフラ協議会」(JAIDA)会員企業を同行して、南アフリカ共和国を訪問し、「日アフリカ官民経済フォーラム」に参加しました。同フォーラムにあわせて、サイドイベント「アフリカのための質の高いインフラ会議」を主催し、「質の高いインフラ」の意義・必要性や日本の技術を発信するとともに、TICAD7へ向けて共同で「質の高いインフラ」整備を促進するため、更なる知識及び経験の共有を図ることにより協力関係を更に深めていく方針を共有しました。
 同フォーラムに参加したモザンビーク共和国のメスキータ運輸通信大臣との会談ではナカラ港の建設・運営に向けてトップセールスを実施しました。また、ウガンダ共和国のバジーレ運輸担当国務大臣との会談では、ナイル架橋(ジンジャ橋)について完工へ向けての協力・支援の要請を行い、バジーレ大臣からは、継続的なインフラ協力に期待が寄せられました。
 
日アフリカ官民経済フォーラムの様子
日アフリカ官民経済フォーラムの様子

(3)あきもと副大臣のベトナム出張
 あきもと国土交通副大臣は、平成30年5月にベトナム・ハイフォン市で開催されたラックフェン港コンテナターミナルオープニングセレモニーに出席しました。セレモニーではあきもと副大臣より、急速施工や高度な地盤改良といった日本企業が得意とする技術によって整備された同港について、大型コンテナ船の入港可能な港湾として両国の更なる発展につながることへの期待が述べられました。さらに、セレモニーに先立ち、ベトナム側代表として出席したフック首相と会談を行い、ベトナムにおける交通インフラプロジェクトを通して、両国間の協力関係を強化していくことで一致しました。
 また、コン交通運輸副大臣及びリン建設副大臣と会談を行い、鉄道、航空、道路、都市開発等の分野で意見交換を行い、両国が連携しながらプロジェクトが円滑かつ着実に実施されるように働きかけを行いました。
 
テープカットを行うあきもと副大臣の様子
テープカットを行うあきもと副大臣の様子

(4)石井大臣のベトナム・インドネシア出張
 平成30年12月に、石井国土交通大臣はベトナム及びインドネシアを訪問し、各国要人との会談を行いました。ベトナムでは、ズン副首相及びテー交通運輸大臣と会談し、その中で鉄道、空港、港湾、道路、防災等を中心に議論を行ったほか、ホーチミン市都市鉄道1号線建設事業の未払い問題の早期解決を申し入れ、ズン副首相及びテー大臣から、早期に支払い手続きが開始される旨回答がありました。また、テー大臣との会談後、国土交通省とベトナム交通運輸省との間で、「海事関係の強化に向けた協力覚書」及び「ベトナム社会主義共和国の空港の航空機騒音対策における協力に係る覚書」を締結し、今後、同覚書に基づき両国の協力関係を一層強化していくことを確認しました。
 
ブディ運輸大臣との会談の様子
ブディ運輸大臣との会談の様子

 また、インドネシアでは、ブディ運輸大臣及びバスキ公共事業・国民住宅大臣と会談を行い、インドネシアで発生した地震・津波被害への復旧・復興対応や、鉄道、港湾、道路等における両国間の協力プロジェクトの現状確認や課題の解決に向けた議論を行い、引き続き協力を進めていくことで一致しました。

(5)阿達国土交通大臣政務官のトルコ出張
 平成30年12月、阿達国土交通大臣政務官は、トルコに出張し、インフラ・防災・観光分野における政策協議、「日・トルコ防災セミナー」に出席しました。
 政策協議では、トルコ政府要人に対し、防災分野における両国の協力関係をより一層強化していくことを確認したほか、日本企業が有する地震防災や橋梁の技術についてトップセールス、2019年10月開催の「G20観光大臣会合」への出席要請などを行いました。
 
官民インフラ会議の様子
官民インフラ会議の様子

 両国政府主催の「日・トルコ防災セミナー」は、防災分野に従事する両国政府関係者及び民間企業から245名が参加して開催され、阿達政務官より冒頭挨拶において、防災分野における両国の協力関係の一層の進展を期待する旨を述べました。

(6)大塚国土交通副大臣のタンザニア連合共和国・ケニア共和国出張
 31年1月、大塚国土交通副大臣は、28年9月に立ち上げた「アフリカ・インフラ協議会」(JAIDA)会員企業を同行して、タンザニア連合共和国を訪問し、同国政府と共催で「官民インフラ会議」を開催しました。同会議では、JICAが策定を支援した「ダルエスサラーム都市交通マスタープラン」や、タンザニアが策定中の「首都ドドマにおけるシティ・マスタープラン」について計画の概要を確認するとともに、両国の官民双方の意見交換が行われました。さらに、トルコ共和国からの出席者とともに建設技術等についての紹介を行い、日本の質の高いインフラ技術や、日本・トルコの効果的な連携等について、開催国タンザニア政府及び企業の理解促進が図られました。また、カムウェルウェ建設・運輸・通信大臣と会談を行い、道路改修事業についてのトップセールスを実施し、カムウェルウェ大臣からは、我が国の支援を通じて、現地の人材開発やキャパビル面が強化されることへの期待が寄せられました。
 ケニア共和国では、オブレ運輸・インフラ・住宅・都市開発・公共事業副大臣との会談を通じ、モンバサ港周辺の道路や橋の事業についてトップセールスを実施したほか、インフラ整備事業に関心を有するケニア・トルコ企業等と日本企業とのインフラセミナーを開催し、ビジネスマッチングの機会を通じて、活発な情報交換を行い、関係構築を行いました。
 
日トルコ防災セミナーにおける冒頭挨拶の様子
日トルコ防災セミナーにおける冒頭挨拶の様子


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