コラム 非常時の外国人旅行者の安全・安心確保  大阪府北部地震、台風第21号、平成30年北海道胆振東部地震等、昨年相次いだ自然災害に際し、訪日外国人旅行者が災害の発生状況や交通機関の運行状況等の情報を適切な形で入手できない、重要な情報源となっているスマートフォンが利用できない、といった課題が発生しました。  その教訓を踏まえて、平成30年9月28日の観光戦略実行推進会議において「非常時の外国人旅行者の安全・安心確保のための緊急対策」が決定されました。これに基づき、観光庁としては、関係機関・事業者と連携しながら、非常時における外国人旅行者への情報提供のあり方の改善に取り組んでいます。代表的な取組み内容は以下のとおりです。 1.日本政府観光局のコールセンター(Japan Visitor Hotline)について、その周知に努めつつ、365日24時間、英語、中国語、韓国語できめ細かい相談ができる体制を確立するとともに、日本政府観光局認定観光案内所について、非常用電源や携帯電話充電機器の整備等を支援し、業務継続能力を強化。さらに、日本政府観光局アプリの機能改善により、災害発生情報のプッシュ通知拡大や災害時ガイダンス機能を強化。 2.日本政府観光局の災害情報発信用Twitterアカウント(Japan Safe Travel)を新設したほか、日本政府観光局のウェブサイトや公式SNS(Facebook、Twitter、微博)等を通じて、災害関連情報を正確に発信。 3.鉄道における情報提供を充実させるため、新幹線の車内や駅における英語放送の充実や駅改札口・券売機・きっぷ売り場等における外国語での運行情報提供の強化等を推進。 4.空港における情報提供を充実させるため、多言語対応可能な空港会社職員の確保、BCPや災害支援協定等に基づく航空会社やテナント等の空港内の関係機関職員の協力体制の構築、十分な携帯電話等充電環境の確保等を推進。  さらに、訪日外国人旅行者の利用が多い新幹線については、輸送障害発生時の情報提供の重要性が高いことから、本年1月30日に「異常時における訪日外国人旅客への情報提供(新幹線)に係る対応指針」を策定の上、JR各社に通知し、1)原則4か国語による10分間隔での構内放送、2)QRコードによるウェブサイトへの誘導、3)ウェブサイトの30分毎の更新等の取り組みを進めております。  今後とも、訪日外国人旅行者が安心して旅行できる環境の整備に向け、不断の改善措置を講じてまいります。 図1 震災後、多くの観光客が観光案内所に集まっている様子 図2 鉄道会社による情報提供改善のための工夫(タブレットによる情報提供)の事例