第2節 地域活性化を支える施策の推進 ■1 地域や民間の自主性・裁量性を高めるための取組み (1)地方における地方創生・地域活性化の取組み支援  地方創生は国による全国一律の取組みではなく、地域ごとに異なる資源や特性を地方自らが活かし、それぞれ異なる課題に対応することで、人口減少を克服する取組みである。地方公共団体が各自の戦略に沿って施策の企画立案、事業推進、効果検証を進めていくに当たり、情報面・人材面・財政面から国は伴走的な支援を続けている。  情報面の支援としては、地域経済に関する官民のビッグデータを分かりやすく「見える化」した、地域経済分析システム(RESAS)を提供している。地域の現状や課題の把握、強み・弱みや将来像の分析、基本目標やKPIの設定、PDCAサイクルの確立に活用することで、地方公共団体や民間企業や住民・NPO等の地方創生の取組みを支援している。  人材面の支援としては、地方創生カレッジにより地方創生に必要な専門人材を育成・確保するとともに、各府省に相談窓口を設ける地方創生コンシェルジュ、国や民間企業等の職員を小規模自治体に派遣する地方創生人材支援制度による支援を行っている。  財政面の支援としては、地方公共団体が複数年度にわたり取り組む先導的な事業を安定的・継続的に支援する地方創生推進交付金、地方公共団体が行う地方創生の取組みに対する企業の寄附について税額控除の優遇措置を講じる地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)等により、地方が地方創生に中長期的見地から安定的に取り組むことができるよう、支援を行っている。  国土交通省においても、全国各地の個性的で魅力ある地域づくりに向けた取組みを一層推進するため、社会インフラと関わりのある地域活性化の取組みを「手づくり郷土(ふるさと)賞(国土交通大臣表彰)」として昭和61年度より表彰している。33回目となる平成30年度は「手づくり郷土賞受賞記念発表会〜グランプリ2018〜」を開催し、同年度の受賞団体23団体(一般部門20団体、大賞部門3団体)がプレゼンテーションを行い、一般部門、大賞部門それぞれのグランプリ及びベストプレゼン賞の受賞団体を決定した。また、地域づくりに役立つ好事例として、受賞団体の取組みをウェブサイト等で広く情報発信(注1)している。  また、地域間の連携と交流による地域づくり活動の奨励を目的として、創意工夫を活かした自主的かつ広域的な優れた地域づくり活動に対して「地域づくり表彰(国土交通大臣表彰等)」として昭和59年度より表彰をしている。平成30年度は29都道府県より51団体の推薦があり、石川県の奥能登地域で地域食材や地元の伝統工芸を活用した地域振興の取組みが国土交通大臣賞を受賞したほか、7団体が各種賞を受賞した。表彰された優良事例の活動内容等については、国土交通省ウェブサイト等を通じて広く情報発信している。(注2) (2)民間のノウハウ・資金の活用促進  地方都市の成長力・競争力の強化を図るため、地方公共団体が行う都市再生整備計画事業と連携した民間都市開発事業で国土交通大臣認定を受けたもの等、優良な民間都市開発事業に対し、民都機構による出資又は共同施行等の支援を行った。あわせて、民都機構が地域金融機関との間でファンドを造成し、当該ファンドからの出資・社債取得や助成等を通じて、リノベーション等による民間まちづくり事業を一定のエリアで連鎖的に進めていくことで、当該エリアの価値向上を支援した。 図表II-4-2-1 優良な民間都市開発事業に対し、共同施行等の支援を行った例 京都四條南座(京都府京都市)  また、まちの魅力・活力の維持・向上を通じた地域参加型の持続可能なまちづくりの実現と定着を図るため、民間まちづくり活動における先進団体が持つ、活動を行う中で一定の収益を継続的に得ることができるノウハウ等を、これから活動に取り組もうとする他団体に水平展開するための普及啓発に関する事業や、都市再生特別措置法の都市利便増進協定に基づく施設整備等を含む先進的な民間まちづくり活動に関する実験的な取組み等への支援を行っている。  加えて、平成26年度の道路上部空間の利用等を可能とする「道路法」等の改正を踏まえ、首都高速道路築地川区間等をモデルケースとし、都市再生と連携した高速道路の老朽化対策の具体化に向けた検討を進めている。首都高日本橋区間の地下化については、更新事業として老朽化対策のみならず、機能向上を図るとともに、民間プロジェクトと連携した事業の具体的な計画についてとりまとめ、今後も引き続き、国、東京都、中央区、首都高速などで協力して検討を推進する。  また、立体道路制度の適用対象を一般道路に拡大する等の措置を講ずる「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律」を平成30年7月に施行し、立体道路制度の積極的な活用を推進している。  さらに、地域の賑わい・交流の場の創出や道路の質の維持・向上を図るため、道路空間を有効活用した官民連携による取組みを推進している。  このほか、27年度に、民間事業者による公社管理有料道路の運営を可能とする構造改革特別区域法一部改正法が成立・施行され、愛知県有料道路において、28年10月から前田グループ(代表企業:前田建設工業(株))が設立した愛知道路コンセッション(株)による運営が開始された。 注1 手づくり郷土賞ウェブサイト:http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/tedukuri/ 注2 国土交通省「地方振興」ウェブサイト:http://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chisei/kokudoseisaku_chisei_mn_000016.html