コラム 「防災気象情報の伝え方に関する検討会」  平成30年7月豪雨では、土砂災害や浸水害をはじめ、広域かつ甚大な災害が各地で発生しました。この豪雨災害においては、気象庁からの防災気象情報の発表や自治体からの避難の呼びかけが行われていたものの、それらが必ずしも住民の避難行動に繋がっていなかったのではないか、との指摘があります。気象庁は、平成30年11月から平成31年3月にかけて「防災気象情報の伝え方に関する検討会」を開催し、平成30年7月豪雨をはじめとして近年相次ぐ大雨による災害を踏まえ、避難等の防災行動に役立つための防災気象情報の伝え方について課題を整理し、今後の改善策について以下のとおりとりまとめました。  課題1 気象庁(気象台)や河川・砂防部局等が伝えたい危機感等が、住民等に十分に感じてもらえていない   →対策:「地域防災力の向上」のため、JETT(気象庁防災対応支援チーム)の体制強化や市町村等の関係機関と共同での「振り返り」の実施、きめ細かい気象解説に向けた「あなたの町の予報官」の配置、非常時における記者会見やホームページの充実やSNSの活用についての改善等に取り組む。  課題2 防災気象情報を活用しようとしても、使いにくい   →対策:土砂災害の「危険度分布」の高解像度化、大雨の危険度と自分が住んでいる場所の危険性を確認するために個別のページにアクセスしなければならないという一覧性の乏しい現状の改善、危険度の高まりが確実に伝わるよう通知サービスの開始、「危険度分布」等の精度検証やその周知に取り組む。  課題3 気象庁の発表情報の他にも防災情報が数多くあり、それぞれの関連が分かりにくい   →対策:避難行動につながるシンプルな情報提供の推進に取り組む。  課題4 特別警報の情報の意味が住民等に十分理解されていない   →対策:大雨特別警報の位置づけ・役割の周知徹底を図り、発表可能性について言及するとともに、精度向上に向けた発表基準や指標の見直しに取り組む。  気象庁は、関係機関と緊密に連携し、この検討会において改善策としてとりまとめた「危険度分布」の高解像度化や希望者向け通知サービス等の取組みに速やかに着手していくとともに、最終的に避難行動をとる住民の一人一人が理解しやすいよう警戒レベルに対応した防災気象情報を分かりやすく提供していくことや、気象防災アドバイザーや地域防災リーダーとの連携等による「地域防災力の向上」に向けた取組みを、今後も引き続き充実・強化していきます。