■2 国土交通省における取組み  我が国は、安倍総理が発表した「質の高いインフラパートナーシップ」を実現すべく、受注を目指した抜本的な制度拡充を行う等、政府を挙げた取組みを強化している。我が国のインフラ海外展開における国土交通省の占める役割は極めて大きく、現行の取組みを継続、強化しつつ、この制度拡充を最大限活用する等、現下の状況変化に応じた新たな取組みも行っていく必要がある。国土交通省においては、平成30年3月に「国土交通省インフラシステム海外展開行動計画2018」を策定し、同計画に基づき、インフラシステム海外展開を戦略的に推進してきたところである。具体的には、1)「川上」からの参画・情報発信、2)ビジネスリスク軽減、3)ソフトインフラの展開の3つを施策の柱として以下のとおり各種施策を推進している。  なお、平成31年3月に「国土交通省インフラシステム海外展開行動計画2019」を策定し、インフラシステムの海外展開に向けた横断的な視点を整理したとともに、今後3〜4年に注視すべき重要プロジェクトの見直しを行った。また、行動計画2018で策定した鉄道、港湾、空港、都市開発・不動産開発、建設産業の各分野別の具体的な取組みに加え、水、防災、道路の分野における具体的な取組みを新たに策定した。 (1)「川上」からの参画・情報発信  プロジェクトの構想段階(川上)からの参画を推進するため、我が国技術によりもたらされる安全性や信頼性、運営段階も含めトータルで見て優れた費用対効果について、官民一体となったトップセールスや、在京大使等を対象とした「シティ・ツアー」の実施、国際会議の機会等を活用した情報発信に取り組んでいる。また、独立行政法人等の公的機関がその中立性や交渉力、さらに国内業務を通じて蓄積してきた技術やノウハウを活用して、海外インフラ事業へ我が国企業が参入しやすい環境づくりを行うことを可能とした「海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律」が平成30年8月に施行され、わが国のノウハウを活かした川上から川下までの支援を促進している。 1)トップセールスの推進  トップセールスについて、平成30年度において、石井国土交通大臣は、フィリピン、シンガポール、インドネシア、中国等計6カ国を歴訪し、相手国のトップや国土交通分野を担当する閣僚との協議・意見交換を行うことにより、我が国インフラシステムのトップセールスに取り組んだ。また、国土交通副大臣・大臣政務官においては、南アフリカやコロンビア、ナイジェリア等25カ国を訪問し、インフラニーズの見込める国に対して、我が国インフラシステムのアピールを行った。このほか、諸外国の大臣等要人の来日・表敬といった機会、セミナーの開催等を通じ、我が国インフラシステムの優位性に関する発信に積極的に取り組んだ。 2)インフラシステム輸出の促進に係る体制整備  新興国等におけるインフラ需要は旺盛である一方、インフラの開発・整備については、現地政府の影響が強く、交渉に当たっては日本側も公的な信用力等を求められるなど、これまで特に案件形成の川上段階において、民間企業のみでの対応には限界があった。また、民間企業には大規模都市開発のマスタープランやや水資源開発の事業計画の策定、高速鉄道の整備、水資源開発に係る施設・下水道・道路の整備や維持管理、空港・港湾等の運営等のノウハウが不足しており、また、専門分化している日本企業のコーディネート役の不在も課題とされてきた。  このような状況の中、官民一体となったインフラシステム輸出を強力に推進するためには、独立行政法人等の公的機関がその中立性や交渉力、さらに国内業務を通じて蓄積してきた技術やノウハウを活用して、海外インフラ事業へ我が国企業が参入しやすい環境づくりを行う必要がある。このため、国土交通省所管の独立行政法人等に必要となる海外業務を行わせるとともに、独立行政法人等や民間企業、またその他関係者が連携・協力を図ることを目的とした「海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律」が平成30年8月に施行された。本法に基づく出資案件として、2018年12月に阪神国際港湾株式会社がカンボジアのシハヌークビル港湾公社(PAS)の株式の一部を取得した。同社によるシハヌークビル港の運営への参画を通じて、我が国のノウハウを活かした川上から川下までの支援を促進する。これを好例とし、官民が一体となり、インフラシステム輸出の拡大を一層推進する。 (2)ビジネスリスク軽減  世界のインフラ市場は、更なる拡大が見込まれているが、とりわけ民間の資金を活用する官民連携(PPP:Public-Private Partnership)方式の要請が強くなっている。しかしながら、交通や都市開発のプロジェクトは、長期にわたる整備、運営段階の需要リスク、現地政府の影響力といった特性があるため、民間だけでは参入が困難なケースも見られる。  交通・都市開発分野において川下(管理・運営)に進出する企業の事業リスクを軽減するため、「出資」と「事業参画」を一体的に行う株式会社海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)は、平成30年度中に、港湾、都市開発、航空及び物流分野において8案件の支援決定(国土交通大臣認可)を行ったところである。31年度は、財政投融資計画において1,231億円(産業投資606億円、政府保証625億円)を計上しており、引き続き、JOINを積極的に活用していく。  この他、海外で事業展開する企業のトラブル等の解決を支援するために相談窓口「海外建設・安全対策ホットライン」の活用や、最新の地域情勢や危機管理対策に関する情報を提供するための「海外安全対策セミナー」の開催、海外建設・不動産市場データベース等を通じた諸外国における建設・不動産市場に関する最新情報の発信、パートナー国と連携した第三国への展開支援等、我が国企業のインフラシステム海外展開を多角的に支援する取組みを行っている。 (3)ソフトインフラの海外展開  我が国企業がプロジェクトに参画しやすい環境を整備するための我が国技術・システムの国際標準化や相手国でのデファクト・スタンダード化、我が国企業の事業環境を改善するための相手国の制度整備支援、相手国における持続的なインフラの運営・維持に資する技術者・技能者層の育成支援等の取組みを行っている。例えば、ベトナム・ハイフォン市において、土地評価制度導入に向けたパイロットプロジェクトを実施した。 (4)各国・地域における取組み  上記の取組み以外にも、二国間において次官級会合の開催、大臣間の協力覚書の署名等を進めているほか、官民が連携してインフラシステム海外展開を進めていく場として、我が国が提唱する「質の高いインフラ投資」の理解促進等を図る官民インフラ会議や二国間対話を継続するとともに、エコシティ、水、道路、防災、鉄道、港湾、航空といったそれぞれのインフラ分野において海外官民協議会を設置し、我が国インフラについての情報発信を行っている。  例えば、防災面での課題を抱えた新興国等を対象に、両国の産学官で協働し、解決策を追求する「防災協働対話」の展開に当たり、平成26年6月に設立した産学官の協力体制を構築する組織である「日本防災プラットフォーム」と連携し、我が国技術の相手国政府への紹介、提案等を行っている。また、ミャンマー、インドネシア、ケニア及びモザンビーク等での港湾整備・運営参画、ミャンマー、カンボジアでの海外港湾EDIシステムの導入、ベトナムでの港湾技術基準の導入等のプロジェクトを推進するため、人材育成の充実、「海外港湾物流プロジェクト協議会」を通じた情報共有・意見交換等を実施しているほか、都市開発の海外展開を推進するための「(一社)海外エコシティプロジェクト協議会」等による官民連携の取組みや、国際的な不動産見本市である「MIPIM」(31年3月フランス・カンヌ開催)への日本ブース出展の開催支援等を行っている。  独自の技術を有するわが国の中堅・中小建設企業の海外市場への進出を促進することを目的として平成29年6月に発足した中堅・中小建設業海外展開推進協議会(JASMOC)の取り組みとして、国内セミナーの開催やミッション派遣等を通じて、技術の売り込みや現地関係者とのコネクション構築等を支援した。  30年度に、各地域・国との間で行われたインフラシステム海外展開を促進する対話、協力等の取組みは下記のとおりである。 1)ASEAN地域  巨大な単一市場の実現に向け平成27年末に発足したASEAN経済共同体(AEC)においては、地域の連結性強化等による経済発展が重視されており、今後ヒト、モノ等の流れがより活発になってくることが予想される。  新興国をはじめとするASEAN諸国からの制度整備支援要望が増加する中、土地・建設関連制度の整備普及を担うことができる人材育成を促進するため、昨年度に引き続き、平成30年9月にASEAN諸国の政府職員に対して、関連制度の講義や現地視察をカリキュラム化した「建設産業政策プログラム」を実施した。 (ア)インドネシア  平成30年11月、インドネシアにおいて「第9回日インドネシア交通次官級会合」を開催し、両国間の交通分野おける重要な協力案件である鉄道、港湾、航空分野等について、課題に対する解決策や今後の協力の方向性等の意見交換を行い、今後もインフラ建設等のハード面と制度構築・人材育成といったソフト面において両国間で緊密な協力・連携を図っていくことを確認した。  平成30年12月には、石井国土交通大臣がインドネシアを訪問し、ブディ運輸大臣とバスキ公共事業・国民住宅大臣と会談を行い、防災、下水道、鉄道、港湾、道路等における両国間の協力プロジェクトの現状認識や課題について議論を行い、引き続き協力を進めていくことで一致した。  平成31年1月、インドネシアにおいて「第6回日・インドネシア建設次官級会合」を開催し、水・防災、道路、下水道、建築住宅、及び建設分野における両国におけるインフラ整備の課題・経験を共有するとともに、両国の協力を推進していくことで一致した。  平成31年2月、インドネシアに地方整備局職員を派遣し、インドネシア公共事業・国民住宅省と合同で橋梁点検を実施。地方整備局職員の技術を海外の道路維持管理の現場に活かし、両国間の協力を推進した。 (イ)タイ  平成30年4月及び10月、石井国土交通大臣は訪日中のアーコム運輸大臣と会談し、鉄道、都市開発、港湾、道路等の分野の政策課題について協議を行った。  平成30年12月、タイ王国最大規模の工業団地(アマタナコン)における複合開発事業につき、JOINが支援決定(国土交通大臣認可)した。  平成31年1月、我が国のメンテナンス技術の質の高さに関する理解を広めることを目的に、我が国の関連制度及び民間企業による技術の紹介するための「企業技術セミナー」を開催した。 (ウ)ベトナム  平成30年5月31日、ベトナム建設省及び天然資源環境省との間でそれぞれ協力覚書を締結。日越首脳会談に合わせ、両首脳立ち会いの下、石井国土交通大臣と、ハー建設大臣及びタイン天然資源環境省次官の間で署名・交換式を実施した。  平成30年5月及び8月、あきもと国土交通副大臣がベトナムを訪問し、鉄道、道路、航空、都市開発、住宅、下水道等の分野の政策課題について政府要人と協議を行った。また、5月のベトナム訪問時には「ラックフェン港コンテナターミナル」開業式典にも出席した。  同年12月、石井国土交通大臣がベトナムに訪問し、ズン副首相及びテー交通運輸大臣との間で、鉄道、空港、港湾、道路、防災について政策協議を行ったほか、ベトナム交通運輸省との間で、海事分野及び航空分野に係る協力覚書を締結した。  平成29年12月に天然資源環境省と締結した土地関連分野に関する協力覚書に基づき、我が国の土地評価制度の導入に向けたパイロット事業をハイフォンにおいて実施した。  また、平成30年、ベトナムでのネットワーク構築やベトナム進出に資する人材育成・確保の観点から、ベトナムの工科系大学生を対象とした合同就職説明会(Job Fair)を9月にホーチミン、11月にハノイにおいて開催するとともに、同11月に「第7回 日本・ベトナム建設会議」を開催し、我が国が提唱している「質の高いインフラ整備」等への理解促進を図った。  31年3月、舗装分野の技術協力を促進するため「ベトナム高速道路セミナー・舗装研究部会」を開催し、日越から産官学の専門家が出席し、意見交換を行った。同年11月、建設省との間に締結している下水道分野に関する協力覚書(29年4月更新)に基づき下水道分野に関する第12回政府間会議・セミナーを実施した。平成30年8月、ホーチミン郊外において戸建住宅・公共施設等を整備するウォーターポイント都市開発事業につき、JOINが支援決定(国土交通大臣認可)した。  平成31年3月、東京において「第3回日・ベトナム建設副大臣級会合」を開催し、特定技能実習生、工事積算、工事の品質・安全管理、PPP、建築基準といった建設分野における両国の課題・経験を共有するとともに、両国の協力を推進していくことで一致した。 (エ)フィリピン  平成30年4月から5月にかけて、石井国土交通大臣がフィリピンを訪問し、ツガデ運輸大臣とビリヤール公共事業道路大臣と会談を行い、鉄道、治水、道路分野等のトップセールスを行った。また、公共事業省との間で、「社会資本整備に関する協力覚書」を締結し、今後、同覚書に基づき両国の協力関係を一層強化していくことを確認した。  平成30年8月、不動産分野における相互理解の促進や我が国企業のプレゼンスの向上等を目的として、「日・フィリピン不動産開発投資セミナー」を開催し、両国不動産企業間のビジネスマッチングを行った。また、高橋国土交通大臣政務官(当時)とデル・ロザリオ住宅都市開発調整評議会(HUDCC)議長との政策協議において、我が国不動産企業の有する技術とノウハウによる質の高い不動産開発についてトップセールスを行うとともに、不動産分野における協力について意見交換を行った。  平成29年11月に貿易産業省と締結した建設人材の育成に関する覚書に基づき、我が国中堅・中小建設企業の海外展開の促進に向け、現地建設人材の育成を目的とした、パイロット事業を展開した。 (オ)マレーシア  平成30年8月、高橋国土交通大臣政務官がマレーシアを訪問し、ダム再生や洪水予警報システム等の我が国の技術、インフラメンテナンス分野における我が国企業が有する高い技術・製品や我が国企業がマレーシアで取り組んでいる高速道路料金収受システムについてトップセールスを行うとともに、水防災・道路・防災分野における協力について意見交換を行った。併せて、我が国の道路維持管理及び水防災対策の取組み状況・技術等をマレーシアの行政機関、大学関係者等に紹介することを目的に「日・マレーシア道路維持管理・防災技術セミナー」を開催した。 (カ)シンガポール  平成30年5月、石井国土交通大臣がシンガポールを訪問し、コーインフラ統括兼運輸大臣と会談を行い、シンガポール・クアラルンプール間を結ぶ高速鉄道プロジェクトを中心に港湾・航空分野等における協力について幅広く意見交換を行った。  平成31年3月、東京において「第2回日シンガポール交通次官級会合」を開催し、両国における鉄道、港湾、航空等の交通分野の現在の取組み状況や今後の協力の方向性等に関する意見交換を行い、今後も各分野において両国間で緊密に連携を図っていくことを確認した。 (キ)ミャンマー  平成30年4月、あきもと国土交通副大臣がミャンマーを訪問し、港湾関連の行政手続きを電子的に一元化する「港湾EDIシステム」の完成式典に出席したほか、政府要人とインフラ・交通分野における政策課題について協議を行った。  同年12月、篠原国土交通審議官がミャンマーを訪問し、「第5回日ミャンマー交通次官級会合」において航空、鉄道、自動車、港湾の交通分野に関する協力案件について政策対話を行ったほか、「ティラワ港コンテナターミナル」竣工式典に出席した。  平成31年2月、菊地技監がミャンマーを訪問し、「第6回日ミャンマー建設次官級会合」において道路、建設産業、住宅・建築、都市開発の各分野における両国の協力関係を深化したほか、「バゴー橋」着工式典に出席した。  土地関連制度の整備・普及を支援するため、政策研究大学院大学の政策研究プログラムにおいて、土地政策に関する講義を平成29年度から2年に亘って提供し、ミャンマー政府職員の土地政策分野に関する研究支援を実施した。 (ク)カンボジア  平成29年1月に国土整備・都市化・建設省と締結した協力覚書に基づき、4回に渡り専門家を派遣するなど、建設法案及び関連政令の起草支援を実施した。  平成31年2月、公共事業運輸省との間に締結している下水道分野に関する協力覚書(2017年2月締結)に基づき,下水道分野に関する第4回政府間会議を実施した。  同年31年2月、現地において事業を行いやすいビジネス環境の整備を図ることを目的とし、カンボジア国土整備・都市化・建設省との間で「カンボジア都市開発・不動産開発プラットフォーム」を設立し、第一回会合を開催した。 2)南アジア (ア)インド  平成30年5月、秋本国土交通大臣政務官はインドを訪問し、政府要人等と会談し、高速鉄道をはじめとする鉄道案件、高速鉄道の駅周辺整備等のインフラ・交通分野における協力について意見交換を行った。  さらに、同年10月の日印首脳会談において、ムンバイ・アーメダバード間高速鉄道事業の円借款供与(第二期、1,500億円)に関する書簡の交換を行った。  同年11月に「第5回日印道路交流会議」を開催し、高速道路運営・維持管理、山岳道路、橋梁の老朽化対策等について、意見交換を実施した。  平成31年3月、インドにおける駅周辺整備に関する検討を加速させることを目的に、政府関係者を対象とした駅周辺整備セミナーを開催した。 (イ)バングラデシュ  PPP庁との間で第2回日バングラデシュ・ジョイントPPPプラットフォーム会合を平成30年6月に東京で、第3回を平成31年3月にバングラデシュにおいて開催し、両国の政府間協力のもとで実施するPPP事業の形成に向けた意見交換を行った。 3)米国  米国とは平成29年4月に立ち上げられた日米経済対話に加え、30年9月の日米首脳会談においては、日米物品貿易協定の交渉開始に合意するなど、様々な分野で関係が強化されている。  特にインフラ分野においては、日米協力の象徴的なプロジェクトであるテキサス高速鉄道の実現に向けた連携や高齢者の住まいに関する日米共同研究等に加えて、29年10月に署名した米国運輸省との覚書に基づき、30年1月、米国ワシントンD.Cにおいて「日米インフラフォーラム」を開催した。さらに同年11月には、米国インディアナ州において「第2回日米インフラフォーラム」を開催し、具体の案件形成に向けたマッチングの場を提供した。本フォーラムでは、日本側から、日本企業が有する知見・ノウハウを紹介し、これらが米国のインフラプロジェクトの推進に貢献できることを説明した。一方、米国側からは、インディアナ州のPPP制度や今後計画されているプロジェクト等の説明が行われるとともに、日本への期待が示された。 4)中東 (ア)サウジアラビア  平成30年8月、サウジアラビアにおける公共交通インフラ整備への日本企業参入を促すべく、国土交通省、運輸省との間で、交通分野における協力覚書を締結した。 (イ)トルコ  平成30年12月、阿達国土交通大臣政務官がトルコを訪問し、防災分野における両国の協力関係をより一層強化していくことを確認したほか、日本企業が有する地震防災や橋梁の技術についてトップセールス、令和元年10月開催の「G20観光大臣会合」への出席要請などを行った。併せて、地震対策・防災分野における日・トルコの連携を深めていくとともに、日本企業の免震・耐震技術のトルコへの展開を後押しすることを目的に「日・トルコ防災セミナー」を開催した。  平成30年3月に経済省(当時)と締結した第三国における建設分野に関する協力覚書に基づき、平成31年1月、タンザニアにて「第2回 日・タンザニア官民インフラ会議」、ケニアにて「質の高いインフラセミナー」を開催した際に、日本及び開催国の政府・民間企業に加え、トルコ政府や建設企業等も参加し、日本・トルコの効果的な連携等について紹介を行うとともに企業間の関係構築を図った。 (ウ)カタール  平成31年1月、カタールのタミーム首長が訪日した際、同国における公共交通インフラ整備への日本企業参入を促すべく、国土交通省、運輸・通信省との間で、交通分野における協力覚書を締結した。 5)ロシア  政府全体の方針である「ロシアの生活環境大国、産業・経済の革新のための協力プラン」に基づき、都市環境、運輸、観光分野での協力を進めているところであり、平成30年9月に開催された東方経済フォーラムにおいても、両首脳の間で「協力プラン」の具体化をさらに進め互恵的な日露経済関係を発展させていくことで一致した。同国の都市環境分野では、8項目からなる「協力プラン」のうち、「快適・清潔で住みやすく、活動しやすい都市作り」の具体化に向け、「日露都市環境問題作業部会」を通じて協力を進めており、同年5月にスマートシティ形成に向けた協力覚書に署名し、5月に第9回総括会合、8月に第10回総括会合を開催した。同年11月に、モデル都市であるヴォロネジ市、ウラジオストク市での取組みの深化と日露協力の更なる推進を目指し、モスクワにてジャパンスマートシティフォーラムを開催したところである。  また、29年8月には日露運輸作業部会第4回次官級会合を開催し、鉄道・港湾・航空等の分野における意見交換を実施した。さらに、同年4月に第2回日露港湾当局間会合を、同年8月に第4回鉄道専門家会合を開催し、専門家間で意見交換を行った。また、30年4月には日露運輸作業部会第5回次官級会合を開催し、鉄道・港湾・航空等の分野における意見交換を実施した。さらに、同年4月に第3回日露港湾当局間会合及び第5回鉄道専門家会合を開催し、専門家間で意見交換を行った。 6)中央アジア  平成27年10月の総理の中央アジア地域訪問のフォローアップとして、日本の技術・ノウハウを活用した案件形成を促進するため、平成31年2月にウズベキスタンを訪問し、関係機関・事業者との意見交換を行った。 7)中南米  平成30年8月、簗国土交通大臣政務官は、パナマとメキシコを訪問し、政府要人等と会談を行うとともに、メキシコで訪日観光PRイベントに出席し、現地日系人団体幹部等との意見交換を行った。  同年10月、石井大臣は、ペルーのトルヒーヨ運輸通信大臣による表敬を受け、同国の都市交通分野のトップセールスを行うとともに、同国における公共交通インフラ整備への日本企業参入を促すべく、国土交通省、運輸通信省との間で、交通分野における協力覚書を締結した。  平成31年3月、ペルー共和国からの要請に基づき、JICA調査団により都市交通計画・耐震基準に関する情報提供及び意見交換を行った。 8)アフリカ  TICAD VIにあわせて平成28年8月にケニアにて開催した「日・アフリカ官民インフラ会議」において採択された閣僚宣言を踏まえて設立した「アフリカ・インフラ協議会」(JAIDA)を活用し、我が国の「質の高いインフラ」を支える技術や経験等についてアフリカ各国に対して積極的に情報発信をするとともに、相手国との官民双方の関係構築を促進した。  30年度は、これまでアフリカ11カ国(ケニア、エチオピア、モザンビーク、タンザニア、コートジボワール、ナイジェリア、ウガンダ、ザンビア、ガーナ、マダガスカル、セネガル)で開催してきた「官民インフラ会議」(閣僚級)で構築された良好な関係を継続するため、タンザニアにて「第2回 日・タンザニア官民インフラ会議」を開催した。  さらに、30年5月、高橋国土交通大臣政務官は、南アフリカを訪問し、「日アフリカ官民経済フォーラム」に出席するとともに、同フォーラムに参加したアフリカ各国の政府要人に対し、インフラ分野におけるトップセールスを実施した。  同年9月、あきもと国土交通副大臣は、ナイジェリアを訪問し、同国政府要人との間で「質の高いインフラ投資」の推進協力に係る覚書を締結した。 9)東アジア  平成30年7月、秋本国土交通大臣政務官は韓国で開催された「第7回日中韓物流大臣会合」に出席し、シャーシの相互通行の拡大、北東アジア物流情報サービスネットワーク(NEAL-NET)の日中韓における対象港湾の拡大やASEAN諸国等への拡大に向けた検討等、日中韓3国間の物流分野における協力の推進について合意した。  中国については、日中間におけるインフラ整備に関する第三国連携の動きが出てきており、平成30年9月に「日中民間ビジネスの第三国展開推進に関する委員会」が、10月に「日中第三国市場協力フォーラム」が開催された。こうした動きを踏まえ、第三国での日中の連携に取り組んでいく。