第I部 進行する地球温暖化とわたしたちのくらし〜地球温暖化対策に向けた国土交通行政の展開〜 |
第2節 地球温暖化によるくらしへの影響
IPCCの第4次評価報告書によれば、多くの自然システムが気温上昇によって今までに影響を受けているとされている。また、同報告書は気温上昇によって将来予測される影響についても記述している。例えば、食料や生態系への影響のほか、水や沿岸域の分野では、海面水位の上昇、大雨の頻度の増加、熱帯低気圧の強度の増大、水利用可能性の変化が予測されている。
我が国においても、気温の上昇とそれに伴って降雨パターン等が変化した場合、洪水や土砂災害、高潮災害等の自然災害の増加をはじめ、農作物の栽培適地や住まい方の変化等、わたしたちのくらしに大きな影響が及ぶ可能性があると考えられている。
また、海外における温暖化とそれに伴う気候変動の影響は、我が国にも大きな影響をもたらす可能性がある。例えば、我が国は食料の多くを輸入に頼っており、その生産には我が国の農地面積の2.5倍の農地と農業用水使用量の1.1倍の水が使われている(注)。このため、気候変動により世界の食料生産や水資源等に影響が生じた場合には、我が国の食料供給にも大きな影響が及ぶ可能性がある。
このような中、温暖化のもたらす影響に対する国民の関心が高まっている。内閣府が平成19年に行った世論調査によると、地球温暖化のもたらす影響について、海面上昇による被害や、生態系・農作物への影響、雨量・河川流量の変化に対する関心が高い。
そこで、本節では、このような国民の関心が高い事項のうち、特に、自然災害である1)洪水・土砂災害、2)渇水、3)高潮災害について、その現状と将来のリスクの変化に関する予測について見ていくこととする。
図表I-1-2-1 地球温暖化がもたらす影響への関心(複数回答 n=1,805)
(注)農林水産省「平成18年度 食料・農業・農村白書」