第II部 国土交通行政の動向 

第5節 北海道総合開発の推進

1 第6期北海道総合開発計画の推進

 北海道の持つ豊富な資源や広大な国土を活かし、我が国全体の安定と発展に寄与するため、第6期北海道総合開発計画(計画期間:平成10年度〜おおむね19年度)の下、以下のように、各種施策・事業の総合的な推進を図ってきた。

(1)北海道の豊かな自然・資源を活かした地域づくり
1)食料基地としての役割強化
 北海道は我が国の農地面積の25%を有し、国内食料生産の約2割(カロリーベース)を供給している。安全な食料の安定的供給は我が国の重要な課題であり、引き続き北海道が我が国の食料基地の役割を担うため、生産性の高い土地利用型農業の展開を支える生産基盤の整備を進めてきた。
2)クリーンエネルギーを活用した地域づくり
 北海道では、豊富に存在する雪氷やバイオマス等のクリーンエネルギーを活用した地域づくりを進めてきた。平成19年度は、家畜排せつ物等から産出されたバイオガスをトラクタ等の燃料や住宅等へ多角的に利用する実証実験を行い、地域で消費するエネルギーは地域で産み出す「エネルギー地産地消」モデルの構築に向けた検討を行った。
 
図表II-3-5-1 バイオガスの多角的利用による「エネルギー地産地消」モデルの構築

図表II-3-5-1 バイオガスの多角的利用による「エネルギー地産地消」モデルの構築

3)観光交流の促進
 北海道を訪れる外国人旅行者数は、豊かな自然環境や冷涼な気候を求める東アジア諸国・地域からの観光客やオーストラリアからのスキー客等により飛躍的に増加している。また、北海道洞爺湖サミットが2008年(平成20年)7月に開催される予定であり、北海道の魅力を発信する機会として期待されている。
 このような状況の下、美しい景観を活かした「シーニックバイウェイ北海道」(注)の推進とともに、外国人のドライブ観光にも対応した情報の提供等により、旅行者が安心して移動できる環境の整備に取り組んできた。
 
サミットが開催される洞爺湖周辺と羊蹄山

サミットが開催される洞爺湖周辺と羊蹄山

(2)北海道の自立的な発展を支える社会
1)総合的・効率的な事業の展開
 北海道は、積雪や寒冷な気候、広大な地域に人口や機能が分散している広域分散型社会といった、他の地域と異なる自然・社会特性を有している。また、水害、地震災害、雪害、火山災害等自然災害が多発する地域でもある。このため、雪に強い快適な冬の生活環境づくりに向けた事業横断的な取組み、高速交通ネットワークの整備、国土保全施設の整備等を地域の個性を生かしつつ推進してきた。これらの施策においては、事業間連携や多様な主体によるハード事業とソフト事業間の連携を積極的に進めるなど、総合的・効率的な実施を図ってきた。
2)地方の自主性・裁量性を活かした社会基盤の整備
 事業計画への国の関与を最小限にし、北海道自身が事業を複合的に選択することができる「北海道広域連携モデル事業」や、地域のニーズにきめ細かく対応した社会資本整備や維持管理を地域住民と協働して行う「地域協働プロジェクト」等を通じて、地方の自主性・裁量性を活かした社会基盤の整備を進めてきた。


(注)地域の活動団体が主体となり、行政と連携し、「美しい景観」「活力ある地域」「魅力ある観光空間」づくりを行う施策

 

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