第II部 国土交通行政の動向 

第8章 我が国の持続的発展のための国際的な連携の強化と国際貢献

第1節 国際的な連携・協調メカニズムの構築とイニシアティブの発揮

(1)東アジア地域における連携強化
 我が国では政府全体として東アジア地域との連携強化に取り組んでいる。
 交通分野では、2007年(平成19年)11月に第5回日ASEAN交通大臣会合を開催し、航空保安及び物流分野の機能向上・連携強化を目的とした「日ASEAN航空保安向上計画」、「日ASEAN物流人材育成ガイドライン」を採択した。また、同年12月に第4回日中運輸ハイレベル協議を開催し、2006年(平成18年)に開催された日中韓物流大臣会合での成果の進捗状況及び交通分野における環境への取組み等について意見交換を行った。
 建設分野では、2007年(平成19年)にEPAが署名されたインドネシアにおいて、第3回日インドネシア建設産業会議を開催したほか、日系企業が多く進出しているベトナムにおいても、日ベトナム建設産業会議を開催し、東アジア諸国の建設関連省庁及び建設業と将来の協働関係構築を目指した取組みを推進していく。
 海洋については、東アジア海域環境管理パートナーシップ(PEMSEA)に参画しており、東アジア海域の持続可能な開発戦略(SDS-SEA)の実施に向けた取組みを進めている。また、日本海及び黄海等の海洋環境の保全を目的とした日本・中国・韓国及びロシア間の行動計画である北大西洋地域海行動計画(NOWPAP)に基づいた取組み等を推進している。

(2)主要国交通担当大臣会合による取組み
 我が国が2002年(平成14年)に主催した「環境にやさしい交通の実現」を議題とする交通大臣会合を踏まえ、2007年(平成19年)11月に、「第3回環境にやさしい自動車に関する国際会議(EFV国際会議)」がドイツで開催された。同会議に向け我が国は、同年2月、「第2回環境にやさしい自動車(EFV)国際ワークショップ」を開催し、EFVの開発・普及に向けて、日本が果たすべき役割について検討を行った。

(3)自由で公正な海外建設市場の形成に向けた取組み
 我が国建設業は、高い技術力・ノウハウをいかし海外進出してきており、海外受注額は、1997年(平成9年)のアジア経済危機の影響等により急減したが、2006年度(平成18年度)は過去最高額となる1兆6,484億円となっている。国土交通省は、建設業の国際競争力の強化に向けて、海外におけるビジネス環境の改善やビジネス機会の増大を目指して、EPA等政府間交渉の積極的な活用により、建設市場の開放等や我が国建設業の技術やノウハウのPR等を図っている。

(4)アジア太平洋地域インフラ担当大臣のネットワークの確立に向けた取組み
 アジア太平洋地域におけるインフラ整備に関するノウハウ・技術の共有や相互連携を図るため、我が国の提唱により、20箇国・地域によるアジア太平洋地域インフラ担当大臣会合を開催している。平成19年8月に、中国・北京で第6回会合を開催し、「インフラ整備における財源、投資制度の改革と持続可能な水利用」をテーマに、各国での課題や取組みの発表や意見交換を行った。次回会合は21年に開催される予定であり、引き続き積極的に参加することとしている。

(5)世界水フォーラム等国際的な水問題への対応
 世界各地で深刻化している水問題を解決するため、国連は、2005年(平成17年)から2015年(平成27年)を「水に関する行動の10年」と定めている。世界の水問題は、農産物や工業製品等を輸入している我が国にも大きな影響があり、国際貢献の観点からも積極的に問題解決に取り組む必要がある。2007年(平成19年)12月の第1回アジア・太平洋水サミット(大分県別府市)において、首脳級レベルにて世界の水問題解決に向けた具体的な取組みが提言されたことを受けアジア地域での水資源問題解決のため、アジア河川流域ネットワークを支援することとしている。
 また、日本政府とユネスコ間の協定に基づき設置された水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)では、途上国における専門家育成のため、水災害管理に関する学位が取得できる「水災害リスクマネジメントコース」を2007年度(平成19年度)に政策研究大学院大学と共同で開講するなど、世界の水災害の防止・軽減を目的とした国際的な拠点となることを目標とした諸活動を積極的に展開している。

 

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