第II部 国土交通行政の動向 

第2節 技術研究開発の推進

1 総合的な技術研究開発の推進

 国土交通本省各局、研究機関、地方整備局等においては、産学官の連携体制の一層の充実を図りつつ、分野横断的・総合的な技術研究開発を推進しており、その成果を公共事業及び建設・交通産業へ積極的に反映している。
 国土交通省では、平成18年3月に閣議決定された「第3期科学技術基本計画(18年度〜22年度)」及び「分野別推進戦略」を踏まえ、様々な要素技術をすりあわせ・統合し、高度化することにより、社会的課題を解決し、国民の暮らしへ還元する「社会的技術」の推進に取り組んでいる。
 また、技術研究開発の方向性を明らかにするため、20年度から24年度までの5年間を計画期間とする「国土交通省技術基本計画」を策定し、国土交通省として目指すべき社会を実現するための技術研究開発の推進に取り組んでいる。

(1)研究機関等・独立行政法人における取組み
 研究機関等や研究を主たる業務とする国土交通省所管の独立行政法人における取組みは図表のとおりである。独立行政法人においては、公共性、透明性及び自主性を備え、適正かつ効率的に業務を運営するという趣旨を十分踏まえつつ、民間を含む関係機関との一層の連携強化を図りながら、それぞれの社会・行政ニーズに対応した研究を重点的・効率的に行っている。
 
図表II-9-2-1 研究機関等における平成19年度の主な取組み

図表II-9-2-1 研究機関等における平成19年度の主な取組み
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図表II-9-2-2 研究を主たる業務内容とする国土交通省所管の独立行政法人における平成19年度の主な研究内容

図表II-9-2-2 研究を主たる業務内容とする国土交通省所管の独立行政法人における平成19年度の主な研究内容
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(2)地方整備局における取組み
 技術事務所及び港湾空港技術調査事務所においては、管内の関係事務所等と連携し、土木工事用材料及び水質等の試験・調査、施設の効果的・効率的な整備のための水理実験・設計、環境モニタリングシステムの開発等の地域の課題に対応した技術開発や新技術の活用・普及等を実施している。

(3)建設・運輸分野における技術研究開発の推進
 建設技術に関する重要な研究課題のうち、特に緊急性が高く、対象分野の広い課題を取り上げ、行政部局が計画推進の主体となり、産学官の連携により、総合的・組織的に研究を実施する「総合技術開発プロジェクト」では、平成19年度に「高度な画像処理による減災を目指した国土の監視技術の開発」等に新規着手し、計6課題について研究開発に取り組んでいる。
 また、運輸分野においても、安全性の確保、利便性の向上及び環境の保全に資する技術研究開発を産学官の連携により、効率的・効果的に推進している。19年度は、「緊急・代替輸送支援システムの開発」等計5課題の研究開発に取り組んでいる。

(4)民間企業の技術研究開発の支援
 新たな技術の開発には資金面でのリスクを伴うため、日本政策投資銀行の低利融資制度や試験研究費に関する税制上の特例措置により、民間企業が行う新たな技術開発を支援している。

(5)競争的資金による研究開発助成制度の推進
 建設技術の研究開発については、建設以外の他分野を含めた連携を進め、広範な学際領域等における技術革新を促進するため、「建設技術研究開発助成制度」により、基礎・応用段階と実用段階の公募を行い、平成19年度は新規17課題、継続14課題を採択した。また、20年度より推進テーマを定め、短期間で成果を社会に還元させる政策課題解決型技術開発公募を実施する予定である。
 また、運輸分野については、交通機関の安全・環境保全性や交通サービスの高度化等に寄与する新しい技術を確立するため、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構において「運輸分野における基礎的研究推進制度」を実施し、19年度は新規5課題、継続10課題を採択した。

 

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