コラム IPCCのノーベル平和賞受賞と我が国の貢献  2007年(平成19年)のノーベル平和賞を前米副大統領のアル・ゴア氏と「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が受賞しました。授賞理由として、両者が「人為的に起こる地球温暖化の認知を高めた」ことが高く評価されました。このように、地球温暖化は人類の生活環境に深刻な問題をもたらすものであり、温暖化によって引き起こされる気候変動が世界の安全保障面でも重要な問題の一つとして認識されてきています。  地球温暖化による気候変動に関して科学的・技術的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立されたIPCCは、1)気候システム及び気候変動の自然科学的根拠についての評価、2)気候変動に対する社会経済及び自然システムの脆弱性、気候変動がもたらす好影響・悪影響、並びに気候変動への適応のオプションについての評価、3)温室効果ガスの排出削減など気候変動の緩和のオプションについての評価を行う3つの作業部会と、温室効果ガスの国別排出目録作成手法の策定、普及及び改定を行う運営委員会からなります。IPCCは、世界の研究者の知見を結集し、1990年(平成2年)以降これまでに4度の評価報告書をまとめるなど、地球温暖化による気候変動に対する国際社会の取組みの強化に科学的裏付けを与えてきました。  第4次評価報告書の取りまとめに当たっては、我が国の多くの研究者の論文が採用されました。また、気象庁気象研究所研究官等が報告書の代表執筆者を務めるなど、我が国は積極的に貢献しました。 2007年のノーベル平和賞授賞式の様子(写真右:IPCC議長のラジェンドラ・パチャウリ氏、中央:前米副大統領のアル・ゴア氏)