4 航空交通における安全対策 (1)航空の安全対策の強化  我が国の航空会社(注)における乗客の死亡事故は昭和61年以降発生していないが、平成17年以降、安全上のトラブルが続発した状況にかんがみ、航空会社に対する安全管理体制の構築の義務付け、安全上のトラブルの報告制度の創設、航空会社に対する監査体制の強化等の対策を講じてきた。  今後は、安全上のトラブルの発生原因や傾向を分析するためのシステムの構築、航空従事者の教育訓練方式の確立等、引き続き予防的安全対策を積極的に推進していく。  また、航空会社に対する監査を抜き打ちを含め高頻度で実施することにより、航空会社の実態・問題点等の的確な把握に努め、必要な安全対策に反映することとしている。 図表II-6-3-4 国内航空会社の事故件数及び発生率 (2)安全かつ円滑な航空交通のための航空保安システムの構築  大都市圏拠点空港等の整備の進捗と周辺諸国の経済発展により、日本上空の航空交通量は増加していく見込みである。このような中、安全確保を最優先としつつ、円滑かつ効率的な運航を図るため、主に以下の取組みを実施している。 1)広域航法(RNAV)の本格導入  平成19年9月に国際民間航空機関(ICAO)の基準に準じたRNAVをアジアで初めて導入した。今後は順次、主要な空港や航空路にRNAV経路を設定し、飛行経路の複々線化による容量の増大、経路短縮による飛行時間や燃料費の削減、運航条件の改善等による空港就航率の更なる向上を図っていくこととしている。 図表II-6-3-5 RNAV(広域航法) 2)航空交通管理(ATM)機能高度化  シミュレーションを用いた空域・経路構成の評価や再設計により空域構成の最適化を図るとともに、自衛隊等の訓練試験空域等への民間機の通過等空域の柔軟な利用を進めている。加えて、交通流や交通量の予測・制御精度の向上を図るなど、ATMセンターの機能を充実・強化し、きめ細かな交通整理を行うことで全国の航空路の混雑緩和や空中待機の減少を進めている。 3)新たな航空保安システムの整備  多様な管制支援機能を付加した次期管制卓システムを整備する(平成21年度までに順次導入)など、新たなシステムの導入を図っている。 (注)ここでいう航空会社とは、特定本邦航空運送事業者(客席数が100又は最大離陸重量が5万キログラムを超える航空機を使用して航空運送事業を経営する本邦航空運送事業者)のこと