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国土交通白書 2020

第3節 社会資本整備の推進

コラム ストック効果最大化を目指して

 社会資本の整備には、フロー効果とストック効果があります。フロー効果は、公共投資の事業自体により、雇用等の経済活動が創出され、短期的に経済全体を拡大させる効果です。一方で、ストック効果は、インフラが社会資本として蓄積され、機能することで継続的に中長期的にわたり得られる効果です。

 また、ストック効果には、耐震性の向上や水害リスクの低減といった「安全・安心効果」や、生活環境の改善やアメニティの向上といった「生活の質の向上効果」のほか、移動時間の短縮等による「生産性向上効果」といった社会のベースの生産性を高める効果があります(図1)。

図1 社会資本のストック効果
図1 社会資本のストック効果

 ストック効果の具体例としては、新東名高速道路・新名神高速道路の整備により、物流の効率化など生産性の向上を図ることで、民間投資の誘発にもつながっています。これにより、静岡県では、県内における工場立地が進み、立地件数は開通前(1998年~2004年)の363件(全国3位)から、開通直前(2005年~2011年)には577件(全国1位)に増加、開通後(2012年~2018年)も463件(全国1位)となっています。また、今後のトラック隊列走行の実現も見据えた新東名高速道路・新名神高速道路の6車線化完成により更なる工場立地件数の増加も期待されます。(図2)。

図2 新東名高速道路・新名神高速道路の6車線化
図2 新東名高速道路・新名神高速道路の6車線化

 我が国の人口が減少していく中においても、経済成長や安全・安心の確保、国民生活の質の向上を持続的に実現していくためには、ストック効果を最大限に発揮する社会資本整備が求められています。

 このため、国土交通省では、発現した多様なストック効果を積極的に幅広く把握し、「見える化」していくとともに、ピンポイントの渋滞対策やダム再生による既存施設の有効活用、ハード・ソフトを総動員した防災・減災対策等の取組みの推進など「賢く投資・賢く使う」を徹底することにより、さらなるストック効果の最大化を目指していきます。