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国土交通白書 2020

第2節 地域活性化を支える施策の推進

■2 コンパクトシティの実現に向けた総合的取組み

 都市のコンパクト化と公共交通網の再構築をはじめとする都市の周辺等の交通ネットワーク形成は、居住や都市機能の集積を図ることにより、住民の生活利便性の維持・向上、サービス産業の生産性の向上等による地域経済の活性化、行政サービスの効率化等による行政コストの削減などの具体的な行政目的を実現するための有効な政策手段であり、中長期的な視野をもって継続的に取り組む必要がある。

 コンパクトシティの実現に向けた市町村の取組みを促進するため、平成26年に「都市再生特別措置法」を改正し、経済的インセンティブによって居住と都市機能の立地誘導を進める「立地適正化計画制度」を創設した。元年度末時点において、立地適正化計画の作成については、522都市が具体的な取組みを行っており、そのうち、310都市が立地適正化計画を作成・公表済みとなった。地域公共交通網形成計画については、585団体が公表済みとなった。

 また、こうした市町村の取組みが、医療・福祉、住宅、公共施設再編、国公有財産の最適利用等のまちづくりに関わる様々な関係施策との連携による総合的な取組みとして推進されるよう、関係府省庁で構成する「コンパクトシティ形成支援チーム」(事務局:国土交通省)を通じ、現場ニーズに即した支援施策の充実、モデル都市の形成・横展開、取組み成果の「見える化」等に取り組んでいる。

 令和元年度においては、市町村の課題・ニーズに即した支援施策の充実を図るとともに、支援施策の全体を一覧できる支援施策集を改訂して、市町村に情報提供した。また、目指す都市像や目標値が明確で、コンパクト・プラス・ネットワークの効果の発揮が期待される取組みを行っているモデル都市第3弾をとりまとめた。さらに、個人単位の行動データ等に基づき、ユーザー目線での最適な施設立地等を検討する計画手法(スマート・プランニング)について、具体都市での検証を通じてシミュレーションの手法や結果の可視化システムの改良を行うとともに、土木学会スマート・プランニング研究小委員会と連携して分析手法の普及を図った。また、頻発・激甚化する自然災害に対応した安全なまちづくりを推進するため、災害ハザードエリアにおける開発抑制、移転の促進、立地適正化計画と防災との連携強化などの内容を盛り込んだ「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案」が第201回通常国会に提出された。