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国土交通白書 2020

第2節 循環型社会の形成促進

■3 自動車・船舶のリサイクル

(1)自動車のリサイクル

 「使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)」に基づき、使用済自動車が適切にリサイクルされたことを確認する制度を導入している。また、「道路運送車両法」の抹消登録を行う際、自動車重量税還付制度も併せて実施し、使用済自動車の適正処理の促進及び不法投棄の防止を図っている。なお、平成30年度において、自動車リサイクル法に基づき解体が確認され、永久抹消登録及び解体届出がなされた自動車は1,419,517台である。

(2)船舶のリサイクル

 船舶解体(シップ・リサイクル)注1は、インド、バングラデシュ等の開発途上国を中心に実施されており、労働災害と環境汚染等が問題視されてきた。この問題を国際的に解決するため、我が国は世界有数の海運・造船国として国際海事機関(IMO)における議論及び条約起草作業を主導し、「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約」(シップ・リサイクル条約)が採択された。

 我が国は、平成31年3月に同条約を締結し、締約国となるとともに、同年5月、英国・ロンドンのIMO本部において、IMOとの共催により、シップ・リサイクル条約早期発効への国際機運醸成を目的として、シップ・リサイクルに関する国際セミナーを開催した。さらに、インドに対してはODAを通じたシップ・リサイクル施設改善の支援(ODA事業:円借款額85.2億円)を推進するとともに、表敬訪問や会談等の機会を捉え、インド等主要解体国を含めた各国に対して早期条約締結を強く呼びかけた。

 こうした取組みの結果、平成31年(令和元年)に、我が国の他、最大の解体国インドをはじめ8箇国が締結し、同条約の発効要件は、1)15か国以上が締結、2)締約国の商船船腹量の合計が40%以上、3)締約国の直近10年における最大年間解体船腹量の合計が締約国の商船船腹量の3%以上であるところ、令和2年3月末時点の充足状況はそれぞれ1)15か国、2)30.2%、3)2.6%注2となっている。

 一方、プレジャーボートの船体はFRP(繊維強化プラスチック)製であるためリサイクルが非常に難しい。このため、使用済FRP船のリサイクルが適切に進むよう、地方運輸局、地方整備局、都道府県等の地方ブロックごとに行っている情報・意見交換会の場を通じて、一般社団法人日本マリン事業協会が運用している「FRP(繊維強化プラスチック)船リサイクルシステム」の周知・啓発を図った。

  1. 注1 寿命に達した船舶は、解体され、その大部分は鋼材として再活用される。
  2. 注2 平成30年の世界の商船船腹量の40%を締約国の商船船腹量と仮定して試算。