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国土交通白書 2020

第1節 ICTの利活用による国土交通分野のイノベーションの推進

■2 自動運転の実現

 国土交通大臣を本部長とする「国土交通省自動運転戦略本部」において、自動運転に関する重要事項を検討し、自動運転の実現に向けた環境整備、自動運転技術の開発・普及促進及び自動運転の実現に向けた実証実験・社会実装の3つの観点から、令和元年11月に今後の取組みについて公表を行った。自動運転の実現に向けた環境整備については、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の自動運転に係る基準等について検討を行う各分科会等の共同議長等又は副議長として議論を主導している。衝突被害軽減ブレーキに関する国際基準が同年6月に成立するなど、着実に国際基準の策定を進めている。国内においても、レベル3及び4の自動運転車の安全確保を図るため、同年5月に「道路運送車両法の一部を改正する法律」が成立し,国が定める安全基準の対象装置に「自動運行装置」が追加され、当該装置に係る安全基準を策定した。一方、自動運転技術の開発・普及促進については、衝突被害軽減ブレーキが一定の性能を有していることを国が確認し、その結果を公表する「性能認定制度」を平成30年3月に創設する等の取組みにより、衝突被害軽減ブレーキ等一定の安全運転支援機能を備えた車「安全運転サポート車(サポカー)」の普及啓発・導入促進に取り組んでいる。また、高速道路の合流部等での情報提供による自動運転の支援や、自動運転を視野に入れた除雪車の高度化についても取り組んでいるほか、車両だけでなくインフラとしての道路からも支援する必要があるため、自動運転車の運行を補助する施設(磁気マーカー等)を「自動運行補助施設」として道路附属物に位置付けるとともに、民間事業者が整備した場合は占用物件とする、道路法等の改正について、令和2年2月に閣議決定した。

 さらに、自動運転の実現に向けた実証実験・社会実装については、最寄駅等と目的地を結ぶ自動運転移動サービスに関し、令和元年6月より地域事業者による約6箇月の長期移送サービス実証評価を行うとともに、遠隔型自動走行システムを活用し遠隔操作者1名が3台を遠隔監視・操作する模擬実証などを行った。さらに、2年度から5地域で中型自動運転バスを活用した実証を実施するための車両開発を行った。さらに、中山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転サービスに関する長期間(1~2箇月)の実証実験を平成30年11月から実施するとともに、ニュータウンにおける自動運転サービスの実証実験を31年3月から実施している。このうち、令和元年11月に道の駅「かみこあに」において、自動運転サービスを本格導入した。加えて、トラックの隊列走行における後続車無人隊列システムについて、高速道路(新東名)で後続車有人状態で半年間の長期実証を実施するとともに、2年3月にはテストコースで実際に後続車無人状態での走行実証などを実施した。