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国土交通白書 2021

第2節 観光先進国の実現に向けた取組み

■1 観光資源の魅力を極め、地方創生の礎に

( 1 )魅力ある公的施設・インフラの大胆な公開・開放

 首都圏外郭放水路では民間が主催する見学会のコース数を増加させるなど、インフラを観光資源として活用・開放し地域振興を図るインフラツーリズムを推進している。

【関連リンク】

Japan Tourism Agency youtubeチャンネル

URL:https://www.youtube.com/user/kankocho/videos

動画

インフラツーリズム魅力倍増プロジェクト

URL:https://www.youtube.com/watch?v=7RBpU006fgo&t=1s

( 2 )景観の優れた観光資産の保全・活用による観光地の魅力向上

 良好な景観の形成や観光振興、安全で快適な通行空間の確保、道路の防災性の向上等の観点から、新設電柱の抑制、低コスト手法の普及などにより、無電柱化推進計画に基づき無電柱化を推進している。

 また、全都道府県・市区町村を対象にした講習会等の開催等により、主要な観光地の市町村等における景観計画の策定を促進するとともに、国営公園で案内板の多言語化等を実施した。

 河川においては「河川敷地占用許可準則」の緩和措置等により、民間事業者等による河川空間の活用を支援し、旅行者を魅了する空間形成を推進した。

( 3 )古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくりの推進

 古民家等の歴史的資源を宿泊施設等に活用し地域の活性化に繋げるため、関係省庁と連携し、ワンストップ窓口での地域からの相談対応や、専門家の派遣等の支援を行っている。

 令和3年度から、新たな展開地域の拡大、取組地域の高付加価値化、各種取組との連携強化等を推進していく。さらに、城や社寺等を日本ならではの文化が体験出来る宿泊施設として活用する城泊や寺泊をはじめ、地域の創意工夫による新たな宿泊コンテンツを開拓し、観光地域の磨き上げを進めていく。

 また、不動産証券化を活用したモデル事業の実施や、実務に関する講習の実施等を通じて、不動産証券化事業の担い手を育成することにより、古民家等の再生を促進している。

( 4 )新たな観光資源の開拓

 インバウンドの段階的回復を見据え、地域固有の観光資源を活用した新たな体験型観光コンテンツを開拓・育成する事業を実施した。

( 5 )広域周遊観光の促進

 訪日外国人旅行者等の各地域への周遊を促すため、調査・戦略策定、滞在コンテンツの充実、受入環境整備、情報発信等、地域の関係者が広域的に連携して観光客の来訪・滞在促進を図る取組みを支援している。また、地域の魅力・課題の発見や施策提案、関係者のスキル向上等に助言するため、地域へ専門家を派遣している。

 また、国内外の旅行者に地方誘客動機を促し、新たな消費活動を創出するため、郷土食や温泉地、星空鑑賞など、全国各地に点在する共通のテーマを観光資源としてそれぞれの拠点をネットワーク化し、情報発信の強化や受入体制整備を図る取組みを「テーマ別観光による地方誘客事業」により支援した。

 さらに、令和3年3月、訪日外国人の移動の実態(利用交通機関や周遊ルート等)が把握できるFF-Dataについて最新1年分(元年分)を公表した。これにより、周遊ルートの分析や戦略的なプロモーション施策の企画立案・見直しへの活用が期待される。

 このほか、北海道や沖縄等においてビッグデータを活用しつつ、既存の道路や駐車場の容量・空間を利活用し、即効性のある渋滞対策の強化に取り組んだ。加えて、国内外のサイクリストの誘客を図るため、日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングロードを国が指定するナショナルサイクルートについて、令和元年度に指定したつくば霞ヶ浦りんりんロード、ビワイチ、しまなみ海道サイクリングロードに続き、3年1月31日に、トカプチ400、太平洋岸自転車道、富山湾岸サイクリングコースを候補ルートに指定した。

( 6 )東北の観光復興及び各自然災害への対応

 東北の観光復興の取組みを一層推進するため、平成28年を「東北観光復興元年」とし、各種施策を推進している注1。また、令和2年は、新型コロナウイルス感染症の影響下で発生した令和2年7月豪雨が各観光地において深刻な影響を及ぼした。観光庁では、観光地全体の復旧・復興を図るために、各種支援策を講じた。

  1. 注1 東北の観光復興については、第1章第5節(2)を参照。