
国土交通白書 2021
第1節 豊かな住生活の実現
( 1 )地価の動向
令和3年地価公示(3年1月1日時点)によると、全国の地価は、全用途平均は6年ぶり、住宅地は5年ぶり、商業地は7年ぶりの下落となり、工業地は5年連続の上昇となったが上昇率は縮小した。新型コロナウイルス感染症の影響により全体的に需要が弱含みとなっている背景として、住宅地については、雇用・賃金情勢が弱まり需要者が価格に慎重な態度となる中で、取引の減少、建築費等の上昇などがあげられる。商業地については、店舗賃貸需要やホテル需要の減退、国内外の来訪客の減少により収益性が著しく低下していることなどがあげられる。
( 2 )宅地供給の現状と課題
人口・世帯の動向を踏まえた宅地施策を着実に推進している。具体的には、宅地開発に関連して必要となる公共施設の整備を支援すること等により、良好な居住環境を備えた宅地の供給を促進している。
( 3 )定期借地権の活用
借地契約の更新が無く、定められた契約期間で確定的に借地契約が終了する定期借地権は、良好な住宅取得を低廉な負担で実現する上で有効な制度である。
同制度の円滑な普及に向け、「公的主体における定期借地権の活用実態調査」を行っている。
( 4 )ニュータウンの再生
高度成長期等において大都市圏の郊外部を中心に計画的に開発された大規模な住宅市街地(ニュータウン)は、急速な高齢化及び人口減少の進展を背景に地域の活力の低下等の課題を抱えており、老朽化した住宅・公共施設の更新や生活を支える機能の充実等を通じて、誰もが暮らしやすい街へと再生を進めていく必要がある。
また、ニュータウンの再生に資するよう、地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業主・地権者等による主体的な取組みを推進するため、地方公共団体、民間事業者等からなる「住宅団地再生」連絡会議を設立し、推進の手法や取組み事例に関する情報提供及び意見交換等を行っている。