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国土交通白書 2021

第2節 循環型社会の形成促進

■3 自動車・船舶のリサイクル

( 1 )自動車のリサイクル

 「使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)」に基づき、使用済自動車が適切にリサイクルされたことを確認する制度を導入している。また、「道路運送車両法」の抹消登録を行う際、自動車重量税還付制度も併せて実施し、使用済自動車の適正処理の促進及び不法投棄の防止を図っている。なお、令和元年度において、自動車リサイクル法に基づき解体が確認され、永久抹消登録及び解体届出がなされた自動車は1,393,183台である。

( 2 )船舶のリサイクル

 船舶解体(シップ・リサイクル) 注6は、インド、バングラデシュ等の開発途上国を中心に実施されており、労働災害と環境汚染等が問題視されてきた。この問題を国際的に解決するため、我が国は世界有数の海運・造船国として国際海事機関(IMO)における議論及び条約起草作業を主導し、「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約」(シップ・リサイクル条約)が採択された。

 シップ・リサイクル条約の早期発効は、シップ・リサイクル施設の労働者の安全確保や環境保全のみならず、老朽船の円滑な市場退出を通じて、世界の海事産業が持続的に発展していく上で重要である。

 我が国は、平成31年3月に同条約を締結し、各国に対して同条約の早期締結に向けて働きかけを行ってきている。特に、同条約の発効には主要解撤国の締結が不可欠であるところ、インドに対しては、平成30年10月の日印首脳会談で安倍首相から同条約の早期締結を期待する旨を伝えるなどの働きかけを行うとともに、ODAを通じたシップ・リサイクル施設改善の支援(ODA事業:円借款額85.2億円)を行い、同条約の実施体制の整備を後押ししている。

 同条約の発効要件は、①15か国以上が締結、②締約国の商船船腹量の合計が40%以上、③締約国の直近10年における最大年間解体船腹量の合計が締約国の商船船腹量の3%以上であるところ、令和元年11月にはインドが同条約を締結するなど、条約の発効に向けて大きく前進しており、令和3年3月末時点の発効要件の充足状況はそれぞれ①16か国、②29.6%、③2.5%注7となっている。

 今後とも、バングラデシュなど条約未締結の主要解撤国における、条約締結に向けた課題の調査等を行い、早期締結に向けた協力を進めていく。

 一方、プレジャーボートの船体はFRP(繊維強化プラスチック)製であるためリサイクルが非常に難しい。このため、使用済FRP船のリサイクルが適切に進むよう、地方運輸局、地方整備局、都道府県等の地方ブロックごとに行っている情報・意見交換会の場を通じて、一般社団法人日本マリン事業協会が運用している「FRP(繊維強化プラスチック)船リサイクルシステム」の周知・啓発を図った。

  1. 注6 令和2年7月末現在
  2. 注7 令和2年7月末現在