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国土交通白書 2021

第4節 健全な水循環の維持又は回復

第4節 健全な水循環の維持又は回復
■1 水の恵みを将来にわたって享受できる社会を目指して

 近年、我が国の水資源を巡っては、危機的な渇水、大規模自然災害、水インフラの老朽化に伴う大規模な事故等、新たなリスクや課題が顕在化している。これらを背景として、需要主導型の「水資源開発の促進」からリスク管理型の「水の安定供給」へ水資源政策の転換を進めている。

 平成29年5月の国土審議会からの答申を受け、我が国の産業と人口の約5割が集中する全国7水系で策定されている水資源開発基本計画を抜本的に見直すこととした。7水系の中でも渇水が頻発する吉野川水系を先行して、30年2月より国土審議会水資源開発分科会吉野川部会での審議に着手し、31年4月に新たな計画を閣議決定、国土交通大臣決定した。

 次に、首都圏を抱え、最も産業と人口が集中する利根川・荒川水系について、令和元年7月より、同分科会利根川・荒川部会での審議に着手し、3年3月に審議を終え、計画変更に向けて関係機関と協議を行っているところである。

 リスク管理型の新たな計画では、危機的な渇水時も含めて水需給バランスを総合的に点検し、既存施設の徹底活用によるハード対策と必要なソフト対策を一体的に推進することで、安全で安心できる水を安定して利用できる仕組みをつくり、水の恵みを将来にわたって享受できる社会を目指している。