
国土交通白書 2022
第4節 復興まちづくりの推進・居住の安定の確保
被災者が住まいの確保について見通しを持てるよう、地方公共団体からの報告に基づき、民間住宅等用宅地の供給及び災害公営住宅の整備の見通しを取りまとめた「住まいの復興工程表」を踏まえ、復興まちづくりの推進・居住の安定の確保に取り組んできた。また、独立行政法人住宅金融支援機構による災害復興住宅融資等を引き続き行っている。被災市町村における人員やノウハウの不足を補い、円滑に事業を進める必要がある。
このため、被災地方公共団体等への人的支援や、被災地方公共団体の発注業務の負担を軽減する発注方式の導入、独立行政法人都市再生機構の活用等により、事業の推進を支援しているほか、事業の効率的な実施のための手続に関する通知等による技術的支援や、支援施策を取りまとめたウェブサイト「復興まちづくり情報INDEX」の公開等による情報提供を行っている。
(1)復興まちづくりの推進
復興まちづくりにおいては、住民の居住に適切でないと認められる区域内にある住居の集団的移転を支援する防災集団移転促進事業や、津波被災市街地における現地再建や、高台等への移転先の宅地整備等を行うにあたって、宅地と道路等の公共施設を一体的に整備するなど総合的なまちづくりを支援する被災市街地復興土地区画整理事業等を実施してきた。
令和2年12月末時点で、防災集団移転促進事業については、「住まいの復興工程表」に基づき実施された324地区(8,336戸)の造成工事が完了した。また、土地区画整理事業については、「住まいの復興工程表」に基づき実施された50地区(民間住宅等用宅地9,395戸)の宅地造成工事が完了した。
(2)居住の安定の確保
居住の安定を迅速に確保するため、自力での住宅再建・取得が可能な被災者に対しては、独立行政法人住宅金融支援機構による災害復興住宅融資について融資金利の引下げ等を行っているほか、宅地に被害が生じた場合についても支援するため、災害復興宅地融資を実施している。また、既往の貸付けについても、最長5年間の払込み猶予・返済期間の延長や、猶予期間中の金利引下げ措置を実施している。
また、自力での住宅再建・取得が困難な被災者に対して、地方公共団体が災害公営住宅を供給しており、家賃低廉化等に係る費用に対する支援及び譲渡に係る特例措置を講じている。
さらに、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故に係る対応として、避難指示区域に居住していた方々(避難者や帰還者)に対して、地方公共団体が災害公営住宅を供給しており、整備や家賃低廉化等に係る費用に対する支援及び入居者資格や譲渡に係る特例措置を講じている。これら災害公営住宅については、令和2年12月末時点で、岩手県、宮城県では、それぞれ「住まいの復興工程表」に基づく計画戸数5,833戸、15,823戸がすべて工事完了し、福島県では、計画戸数が未確定な帰還者向け及び調整中の原発避難者向けを除き、7,997戸がすべて工事完了した。