
国土交通白書 2022
第1節 ICTの利活用による国土交通分野のイノベーションの推進
「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(以下「重点計画」)等に基づき、デジタル社会の実現に向けた取組みを行っている。特に、国・地方を通じた行政全体のデジタル化により、国民・事業者の利便性向上を図る施策については、「重点計画」を踏まえ、政府全体で取組みを進めており、国土交通省においても積極的に推進している。
また、「規制改革実施計画」(令和3年6月閣議決定)において、コロナ危機において脆弱性があらわになった「書面・押印、対面」を原則とした制度・慣行・意識を抜本的に見直し、デジタル・ガバメントの実現を目指す観点から、原則として全ての手続について、必要な法令等の改正やオンライン化を行うこととされており、国土交通省所管手続についてもこれに基づき速やかに対応を進めているところである。
自動車保有関係手続に関しては、検査・登録、保管場所証明、自動車諸税の納付等の諸手続をオンラインで一括して行うことができる“ワンストップサービス(OSS)”を平成17年から新車の新規登録を対象として、関係省庁と連携して開始し、以後、対象地域や対象手続の拡大を進めてきた。
OSSの利用は、新規登録手続について令和元年度で121.2万件(28.8%)、令和2年度で131.3万件(32.9%)、継続検査について令和元年度で518.8万件(24.9%)、令和2年度で714.4万件(33.3%)となっている(※)。元年度から新規登録手続については4.1%、継続検査については8.4%利用率が伸びており、利用が拡大しているものの、中間登録についてはほとんど利用されておらず更なる利用促進策を講じることが必要となっている。
令和3年12月10日に「オンライン利用率引上げの基本計画」を改訂し、新規登録手続、中間登録(変更登録・移転登録・抹消登録・輸出の届出・解体の届出)手続、継続検査手続のOSS利用率引上げのための目標及びオンライン利用率引き上げに係る課題とその解決に向けたアクションプランを決定した。アクションプランに基づき、3年度は、OSSの利便性向上の視点からスマートフォンを活用したカードリーダの不要化などに取り組んだ。
また、継続検査については、OSSで手続を行った場合であっても、自動車検査証の受取のための運輸支局等への来訪が必要となっていることが、OSSの更なる利用促進に向けた課題の一つである。これを解消するため、令和元年5月に「道路運送車両法」を改正し、自動車検査証を電子化するとともに、自動車検査証への記録等の事務を国から委託する制度を創設したところである。現在、電子化された自動車検査証を5年1月に確実かつ円滑に導入すべく準備を進めている。
※「オンライン利用率引き上げに向けた基本計画」(令和3年12月10日)に基づいて算出。