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国土交通白書 2022

第1節 ICTの利活用による国土交通分野のイノベーションの推進

■6 ICTの利活用による高度な水管理・水防災

 近年IoT、AI、5G等の情報通信技術が著しく進歩する中、Society 5.0の実現を目標として、他分野との連携を図りながら、新たな技術を積極的に活用し、水管理・水防災の高度化を進めている。

 河川氾濫・流域監視のため、雨量観測においては、広域的な豪雨や局所的な集中豪雨を高精度・高分解能・高頻度でほぼリアルタイムに把握できるXRAIN(国土交通省高性能レーダ雨量計ネットワーク)を整備し、配信エリアを全国に順次拡大している。また、最新のIoT、ICT技術を活用し、洪水時の観測に特化した低コストな危機管理型水位計や静止画像を無線で伝送する簡易型河川監視カメラの設置、グリーンレーザを搭載し水面下も点群計測が可能なドローンの実装、無人化・省力化を目的とした流量観測機器やドローンの活用による河川巡視の高度化・省人化や砂防関係施設点検の省力化を目的とした技術開発を進めている。

 また、豪雨等により発生する土砂災害に対しては、平常時より広域的な降雨状況を高精度に把握するレーダ雨量計、監視カメラ、地すべり監視システム等で異常の有無を監視している。また、大規模な斜面崩壊の発生に対し、迅速な応急復旧対策や的確な警戒避難による被害の防止・軽減のため、発生位置・規模等を早期に検知する取組みを進めている。

 また、災害時の浸水範囲・土砂崩壊箇所の把握にあたっては、平成29年5月に国土交通省とJAXAで締結した「人工衛星等を用いた災害に関する情報提供協力にかかる協定」に基づき、JAXAの有する陸域観測技術衛星(だいち2号)による緊急観測データを活用する取組みを進めている。

 下水道分野においては、局地的な大雨等に対して浸水被害の軽減を図るため、センサー、レーダー等に基づく管路内水位、雨量、浸水等の観測情報の活用により、既存施設の能力を最大限活用した効率的な運用、地域住民の自助・共助の促進を支援する取組みや、樋門等の自動化・無動力化・遠隔操作化を支援する取組みを進めている。