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国土交通白書 2022

令和4年版 国土交通白書 はじめに

 近年、紀元後2000年の歴史に例を見ない地球温暖化が進行しており、この影響による大雨や短時間強雨の頻発等により、世界中で洪水や土砂災害等の気象災害が激甚化・頻発化し、我が国も例外ではない状況にある。他方、進行する気候の変化の要因として、人間の活動による温室効果ガスの排出等の影響が指摘されている。仮に、今後も温室効果ガスの排出が高いレベルで続いた場合、今世紀末の我が国では、20世紀末に比べ、気温の上昇とともに、強雨の発生頻度の増加・海面水位の上昇・台風強度の強まり等、気象災害リスクの高まりが予測されている。

 このような状況下、気候変動による気象災害リスクに的確に対応していくためには、防災・減災対策に加え、気候変動そのものの緩和策として、国際的枠組みも踏まえた脱炭素化に向けた取組みが必要不可欠である。この動向を踏まえ、我が国においては、2050年カーボンニュートラルを目指し、脱炭素化に向けた温室効果ガスの削減等の取組みを推進している。また、このうち、特に、住まい・交通・まちづくり等の国土交通分野における取組みは、我が国全体の二酸化炭素排出量の動向に大きく寄与するとともに、国民一人ひとりの暮らしそのものに密接に関わるものである。このため、カーボンニュートラル目標の達成に向け、同分野における国・自治体・企業等の取組みとともに、国民一人ひとりの取組みも視野に入れ、わたしたちの暮らしの脱炭素化に向けた動向や今後の展望について考察することが肝要である。

 こうした背景等を踏まえ、令和4年版国土交通白書の第Ⅰ部では、「気候変動とわたしたちの暮らし」をテーマとし、気候変動に伴う災害の激甚化・頻発化や社会情勢の変化を踏まえ、暮らしの脱炭素化に向けた国土交通分野の取組みの課題と方向性を整理し、気候変動時代のわたしたちの暮らしを展望する。

 また、第Ⅱ部では、国土交通行政の各分野の動向を政策課題ごとに報告する。

 是非、この白書を手に取っていただき、国土交通行政に関する理解の向上や情報収集などに役立てていただきたい。