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国土交通白書 2023

第6章 安全・安心社会の構築

第1節 ユニバーサル社会の実現
■1 ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー化の実現

 「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方を踏まえた「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」に基づき、旅客施設等(旅客施設、車両等、道路、路外駐車場、都市公園、建築物等)の新設等の際の「移動等円滑化基準」への適合義務、既存の旅客施設等に対する適合努力義務を定めている。バリアフリー法により、令和3年4月には、東京2020大会のレガシーとしての共生社会の実現に向け、国・地方公共団体・国民・施設設置管理者の障害者高齢者施設等の適正利用の責務や公共交通事業者等の役務の提供方法に関する遵守義務の創設など、移動等円滑化にかかる「心のバリアフリー」の観点からの施策の充実などソフト対策を強化する改正「バリアフリー法」が全面施行された。

 この「バリアフリー法」に基づき、令和3年度から7年度までを目標期間としたバリアフリー整備目標を策定し、地方部を含めたバリアフリー化、聴覚障害及び知的・精神発達障害に係るバリアフリーや心のバリアフリーの推進等をはじめハード・ソフト両面での一層のバリアフリー化に取り組んでいる。

(1)公共交通機関のバリアフリー化

 「バリアフリー法」に基づき、公共交通事業者等に対して、旅客施設の新設・大規模な改良及び車両等の新規導入の際に公共交通移動等円滑化基準に適合させることを義務付け、既存施設については同基準への適合努力義務が課されているとともに、その職員に対し、バリアフリー化を図るために必要な教育訓練を行うよう努力義務を定めている。また、平成30年の「バリアフリー法」改正により、公共交通事業者等によるハード・ソフト一体的な取組みを推進するため、一定の要件を満たす公共交通事業者等が、施設整備、旅客支援等を盛り込んだハード・ソフト取組計画を毎年度作成し、国土交通大臣に提出するとともに、その取組状況の報告・公表を行うよう義務付ける制度を新たに設けるなど、既存の設備を含む更なるハード対策、旅客支援等のソフト対策を一体的に推進している。さらに、旅客船、鉄道駅等の旅客ターミナルのバリアフリー化やノンステップバス、リフト付きバス、福祉タクシー等の車両の導入等に対する支援措置を実施している。

【関連データ】

公共交通機関のバリアフリー化の現状

URL:https://www.mlit.go.jp/statistics/file000010.html

(2)居住・生活環境のバリアフリー化

①住宅・建築物のバリアフリー化

 高齢者、障害者等が地域の中で安全・安心で快適な住生活を営むことができるよう、一定のバリアフリー性を満たした住宅を取得する際の独立行政法人住宅金融支援機構のフラット35Sにおける融資金利の引き下げ、バリアフリー改修工事に対する支援等によって住宅のバリアフリー化を促進しているほか、公営住宅や建替え事業によって新たに供給する都市再生機構賃貸住宅については、バリアフリー化を標準仕様とするとともに、民間事業者等によるサービス付き高齢者向け住宅の整備に対する支援等を実施している。

 また、公共施設や店舗等については、「バリアフリー法」に基づく義務付け制度や容積率の特例措置のほか、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」の周知等を通じてバリアフリー化を促進している。官庁施設については、不特定かつ多数の者が利用する施設について「バリアフリー法」に基づく建築物移動等円滑化誘導基準を満たした整備を推進している。

②歩行空間のバリアフリー化

 駅、官公庁施設、病院等を結ぶ道路や駅前広場等において、高齢者・障害者をはじめとする誰もが安心して通行できるよう、幅の広い歩道の整備や歩道の段差・傾斜・勾配の改善、無電柱化、視覚障害者誘導用ブロックの整備等による歩行空間のユニバーサルデザイン化を推進している。

③都市公園等におけるバリアフリー化

 都市公園等において、出入口や園路の段差解消、高齢者や障害者等が利用しやすいトイレの設置等のバリアフリー化を推進するため、「バリアフリー法」に基づく基準やガイドラインを定めるとともに、それに基づく公園施設の整備を支援している。

【関連データ】

「バリアフリー法」に基づく特定建築物の建築等の計画の認定実績

URL:https://www.mlit.go.jp/statistics/file000010.html