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国土交通白書 2023

第4節 交通分野における安全対策の強化

■7 道路交通における安全対策

 令和4年の交通事故死者数は、昭和45年のピーク時の16,765人から2,610人(対前年比26人減)まで減少し、警察庁が保有する昭和23年からの統計で、戦後最少を更新した。しかし、交通事故死者の約半数が歩行中・自転車乗用中で、そのうち約半数が自宅から500m以内の身近な場所で発生するなど依然として厳しい状況である。このため、更なる交通事故の削減を目指し、警察庁等と連携して各種対策を実施している。

【関連データ】

交通事故件数及び死傷者数等の推移

URL:https://www.mlit.go.jp/statistics/file000010.html

(1)道路の交通安全対策

①ビッグデータ等を活用した幹線道路・生活道路の交通安全対策の推進 

 道路の機能分化を推進することで自動車交通を安全性の高い高速道路等へ転換させるとともに、交通事故死者数の約半数以上を占めている幹線道路については、安全性を一層高めるために都道府県公安委員会と連携した「事故危険箇所」の対策や「事故ゼロプラン(事故危険区間重点解消作戦)」により、効果的・効率的に事故対策を推進している。

 一方、幹線道路に比べて死傷事故件数の減少割合が小さい生活道路については、車両の速度抑制や通過交通進入抑制による安全な歩行空間の確保等を目的として、警察庁と国土交通省は、「ゾーン30プラス」として設定し、人優先の安全・安心な通行空間の整備を推進した。

 具体的には、警察と道路管理者は検討段階から緊密に連携して、最高速度30キロメートル毎時の区域規制と物理的デバイスとの適切な組合せにより交通安全の向上を図ろうとする区域を「ゾーン30プラス」として設定し、ハンプや狭さくの設置等による車両の速度抑制対策や通過交通の進入抑制対策、外周幹線道路の交通を円滑化するための交差点改良等を推進している。これらの交通安全対策の立案等にあたっては、急減速や速度超過などの潜在的な危険箇所を見える化するため、ビッグデータ等の活用を推進している。

 また、自転車対歩行者の事故件数が過去10年でほぼ横ばいにとどまっている状況であり、車道通行を基本とする自転車と歩行者が分離された形態での整備を推進している。

②通学路等の交通安全対策の推進

 通学路については、平成24年に発生した集団登校中の児童等の死傷事故を受け、通学路緊急合同点検を実施し、学校、教育委員会、道路管理者、警察などの関係機関が連携して、交通安全対策を実施した。その後、継続的な通学路の安全確保のため、市町村ごとの「通学路交通安全プログラム」の策定などにより、定期的な合同点検の実施や対策の改善・充実等の取組みを推進しており、「通学路交通安全プログラム」に位置付けられた交通安全対策事業への支援を重点的に実施している。

 また、令和元年に発生した園児等の死傷事故を受け決定された「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」(令和元年6月18日関係閣僚会議決定)に基づき行われた緊急安全点検の結果を踏まえた交通安全対策事業への支援も重点的に実施している。

 さらに、令和3年6月に発生した下校中の小学生の死傷事故を受け決定された「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」(令和3年8月4日関係閣僚会議決定)に基づき通学路合同点検を実施し、この結果を踏まえ、学校、教育委員会、警察、道路管理者等の関係者が連携し、ハード・ソフトの両面から必要な対策を推進している。なお、通学路合同点検の結果、抽出された対策必要箇所における交通安全対策を対象とする個別補助制度を創設し、重点的に支援している。

③高速道路の安全性、信頼性や使いやすさを向上する取組み

 令和元年9月に策定した「高速道路における安全・安心基本計画」等を踏まえ、利用者視点のもと、新技術等を活用しつつ、高速道路の安全性、信頼性や使いやすさを向上する取組みを計画的に推進していく。

 具体的には、暫定2車線区間における走行性や安全性の課題を効率的に解消するため、時間信頼性の確保や事故防止、ネットワークの代替性確保の観点から選定した優先整備区間の中から財源確保状況も踏まえ、計画的に4車線化等を実施していく。また、正面衝突事故防止対策として、長大橋及びトンネル区間において、車両の逸脱防止性能等を満たす区画柵を全国6箇所(約1km)の実道で令和3年度より試行設置し、効果検証を実施しており、今後、試行設置箇所を約13km拡大し、引き続き効果検証を推進していく。

 また、世界一安全な高速道路の実現を目指し、事故多発地点での集中的な対策に取り組むだけでなく、高速道路での逆走事故対策として、高速道路出入口部の一般道のカラー舗装や画像認識技術を活用した路車連携技術の実用化を推進する。

 休憩施設の不足解消や使いやすさの改善に向けた取組みとして、休憩施設の駐車マス数の拡充を継続していくとともに、令和4年8月から高速道路機構および高速道路会社が行う有識者委員会にて今後の対応方針を検討し、対策を推進する。

(2) 安全で安心な道路サービスを提供する計画的な道路施設の管理

 全国には道路橋が約73万橋、道路トンネルが約1万本存在し、高度経済成長期に集中的に整備した橋梁やトンネルは、今後急速に高齢化を迎える。

 こうした状況を踏まえ、平成26年より、全国の橋やトンネルなどについて、国が定める統一的な基準により、5年に1度の頻度で点検を行っている。

 平成30年度までに実施した橋梁、トンネル等の一巡目点検の結果、橋梁では次回点検までに措置を講ずべきものが全国に約7万橋存在する。このうち、地方公共団体管理の橋梁では修繕が完了したものが約46%(令和3年度末時点)に留まることを踏まえ、「道路メンテナンス事業補助制度」により計画的かつ集中的に支援している。

 今後、地方公共団体が計画的に措置ができるよう、具体的な対策内容を盛り込んだ長寿命化修繕計画の策定・公表を促すとともに、直轄診断・修繕代行による支援、地域単位での一括発注の実施、修繕に係る研修の充実等、技術的にも支援していく。さらに、高速道路の老朽化に対応するため、大規模更新・修繕事業を計画的に進めているほか、跨線橋の計画的な維持及び修繕が図られるよう、あらかじめ鉄道事業者等との協議により、跨線橋の維持又は修繕の方法を定め、第三者被害の予防及び鉄道の安全性確保等に取り組んでいる。

(3)バスの重大事故を受けた安全対策の実施

 平成28年の軽井沢スキーバス事故等を踏まえ、二度とこのような悲惨な事故を起こさないよう、安全対策をとりまとめ、着実に実施してきた。他方、令和4年8月に名古屋市の高速道路において乗合バスが、同年10月には静岡県の県道において観光バスがそれぞれ横転し、乗客が亡くなる痛ましい事故が発生したところ、事業者に対する指導や監査により法令遵守を改めて徹底するとともに、事故調査等を通じて明らかになる事実関係も踏まえつつ、再発防止に向けた対策を検討していく。

(4) 事業用自動車の安全プラン等に基づく安全対策の推進

 「事業用自動車総合安全プラン2025」を令和3年3月に策定し、7年までに事業用自動車の事故による24時間死者数を225人以下、重傷者数を2,120人以下、人身事故件数を16,500件以下、飲酒運転を0件とする事故削減目標を掲げ、その達成に向けた各種取組みを進めている。

①業態毎の事故発生傾向、主要な要因等を踏まえた事故防止対策

 輸送の安全の確保を図るため、トラック・バス・タクシーの業態毎の特徴的な事故傾向を踏まえた事故防止の取組みについて評価し、更なる事故削減に向け、必要に応じて見直しを行う等、フォローアップを実施している。

②運輸安全マネジメントを通じた安全体質の確立

 平成18年10月より導入した「運輸安全マネジメント制度」により、事業者が社内一丸となった安全管理体制を構築・改善し、国がその実施状況を確認する運輸安全マネジメント評価を、令和4年度は自動車運送事業者119者に対して実施した。特に、平成29年7月の運輸審議会の答申を踏まえ、令和3年度までに全ての事業者の運輸安全マネジメント評価を行うとした貸切バス事業者については、同年度において、229者の評価を実施し、代表者変更により越年した1者についても4年度に評価を行い、全ての貸切バス事業者の評価を終了した。

③自動車運送事業者に対するコンプライアンスの徹底

 自動車運送事業者における関係法令の遵守及び適切な運行管理等の徹底を図るため、悪質違反を犯した事業者や重大事故を引き起こした事業者等に対する監査の徹底及び法令違反が疑われる事業者に対する重点的かつ優先的な監査を実施している。

 また、平成28年11月より、事故を惹起するおそれの高い事業者を抽出・分析する機能を備えた「事業用自動車総合安全情報システム」の運用を開始した。

 さらに、貸切バスについては、軽井沢スキーバス事故を受けて取りまとめた総合的対策に基づき、法令違反を早期に是正させる仕組みの導入や行政処分を厳格化して違反を繰り返す事業者を退出させるなどの措置を、同年12月より実施するとともに、29年8月より、民間の調査員が一般の利用者として実際に運行する貸切バスに乗車し、休憩時間の確保などの法令遵守状況の調査を行う「覆面添乗調査」を実施している。

④飲酒運転等の根絶

 事業用自動車の運転者による酒気帯び運転や覚醒剤、危険ドラッグ等薬物使用運転の根絶を図るため、点呼時のアルコール検知器を使用した確認の徹底や、薬物に関する正しい知識や使用禁止について、運転者に対する日常的な指導・監督を徹底するよう、講習会や全国交通安全運動、年末年始の輸送等安全総点検なども活用し、機会あるごとに事業者や運行管理者等に対し指導を行っている。

 また、令和4年3月には、飲酒傾向の強い運転者に対して適切な指導・監督が実施できるよう、運送事業者による運転者への指導・監督時の実施マニュアルにおいて、アルコール依存症関係の記載を拡充した。

⑤IT・新技術を活用した安全対策の推進

 自動車運送事業者における交通事故防止のための取組みを支援する観点から、デジタル式運行記録計等の運行管理の高度化に資する機器の導入や、過労運転防止のための先進的な取組み等に対し支援を行っている。さらに、輸送の安全確保の根幹を成す運行管理について、ICTの活用による運行管理の高度化に向けた検討を進めており、令和4年7月から、遠隔の営業所等間で点呼を行う遠隔点呼を実施できるようにし、また、5年1月から、乗務後の点呼を自動点呼機器により行う乗務後自動点呼を実施できるようにした。

⑥事業用自動車の事故調査委員会の提案を踏まえた対策

 「事業用自動車事故調査委員会」注25において、社会的影響の大きな事業用自動車の重大事故について、より高度かつ複合的な事故要因の調査分析を行っているところであり、令和元年9月5日に神奈川県横浜市神奈川区で発生した大型トラックの踏切事故などの特別重要調査対象事案等について、5年3月までに53件の報告書を公表した。

【関連リンク】

大型トラックの踏切事故(横浜市神奈川区)

URL:https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/jikochousa/pdf/1943102-outline.pdf

⑦運転者の健康起因に伴う事故防止対策の推進

 睡眠呼吸障害、脳疾患、心臓疾患等の主要疾病による健康起因事故を防止するため、疾病の早期発見に有効とされる各種スクリーニング検査の普及に向けモデル事業を行っているほか、事業者の運転者に実際にスクリーニング検査を受診してもらい、受診後の運転者に対する事業者の対応等を調査するモデル事業を実施している。また、視野障害に関する運転リスク及び眼科検診の受診や治療継続の必要性について周知するため、運転者の視野障害が原因となる事故の抑止に向けて事業者が取組むべき内容をまとめた「視野障害対策マニュアル」を令和4年3月に策定し公表した。

⑧国際海上コンテナの陸上運送の安全対策

 国際海上コンテナの陸上運送の安全対策を推進すべく、平成25年6月に関係者間での確実なコンテナ情報の伝達等について記載した「国際海上コンテナの陸上における安全輸送ガイドライン」の改訂及びマニュアルの策定を行い、地方での関係者会議や関係業界による講習会等において本ガイドライン等の浸透を図るなど、関係者と連携した安全対策に取り組んでいる。

(5)自動車の総合的な安全対策

①今後の車両安全対策の検討

 第11次交通安全基本計画(計画年度:令和3~7年度)を踏まえ、交通政策審議会陸上分科会自動車部会において、今後の車両の安全対策のあり方、車両の安全対策による事故削減目標等について審議され、令和3年6月に報告書が取りまとめられた。報告書では「歩行者・自転車等利用者の安全確保」、「自動車乗員の安全確保」、「社会的背景を踏まえて重視すべき重大事故の防止」及び「自動運転関連技術の活用・適正利用促進」を今後の車両安全対策の柱とするとともに、12年までに、車両安全対策により、年間の30日以内交通事故死者数を1,200人削減、重傷者数を11,000人削減するとの目標が掲げられた。また、高齢運転者の事故防止対策として、ペダルの踏み間違いなど運転操作ミス等に起因する高齢運転者による事故が発生していることや、高齢化の進展により運転者の高齢化が今後も加速していくことを踏まえ、「安全運転サポート車」(サポカー)の普及促進に取り組むとともに、3年11月以降の国産新車乗用車から順次衝突被害軽減ブレーキの装着義務化を進める等により、先進的な安全技術を搭載した自動車の性能向上と普及促進に取り組んだ。

②安全基準等の拡充・強化

 自動車の安全性の向上を図るため、国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)において策定した国際基準を国内に導入することを通じ、大型車に備える衝突被害軽減ブレーキの検知対象の対歩行者の追加を含む性能要件の大幅強化及び大型車への車両後退通報装置(バックアラーム等)の装備義務化など、保安基準の拡充・強化を行った。引き続き、自動車の安全性向上に向けて、更なる保安基準の拡充・強化を図っていく。

③先進安全自動車(ASV)の開発・実用化・普及の促進

 産学官の連携により、先進技術を搭載した自動車の開発と普及を促進し、交通事故削減を目指す「先進安全自動車(ASV)推進プロジェクト」では、令和3年度から7年度の5年間にわたる第7期ASV推進検討会において「自動運転の高度化に向けたASVの更なる推進」を基本テーマに掲げ、事故実態の分析を通じ、①運転者の意図と反した誤った操作及び、認知ミスによる明らかに誤った操作よりも、システムの安全操作を優先する安全技術、②車両間の通信により、遮蔽物のある交差点での出会い頭の事故等を防止する安全技術、③歩行者等の交通弱者と通信を行い、交通弱者が被害者となる事故を防止する安全技術等がより安全に寄与する事故形態の検討を行った。

④自動車アセスメントによる安全情報の提供

 安全な自動車及びチャイルドシートの開発やユーザーによる選択を促すため、これらの安全性能を評価し結果を公表している。令和4年度は、13車種を対象に、衝突安全性能評価と予防安全性能評価を統合した「自動車安全性能2022」の結果を公表した。さらに自転車に対応した衝突被害軽減ブレーキについて、評価を開始した。

⑤自動運転の実現に向けた取組み

 高速道路でのより高度な自動運転の実現に向け、国連WP29における議論を主導し、令和4年6月に車線変更、高速度域に対応した自動運転機能等についての国際基準の改正が合意された。

 また、令和6年10月より開始される「OBD検査注26」の導入に向けて、検査の合否判定に必要なシステムの開発など、環境整備を進めた。さらに、レベル4の自動運転技術に対する審査手法を構築するため、シミュレーション等を活用した安全性評価手法等の策定のための調査を実施した。

⑥自動車型式指定制度

 自動車型式指定制度においては、保安基準への適合性及び生産過程における品質管理体制等の審査を独立行政法人自動車技術総合機構交通安全環境研究所と連携して実施し、自動車の安全性と環境性能の確保を図っている。なお、令和4年度の自動車型式指定件数は1,831件、装置型式指定件数は580件であった。

 また、一部メーカーによる、型式指定申請時の排出ガス性能や燃費性能を確認する試験における不正行為を受け、同種の型式指定に係る不正事案を防止するため、監査の強化等に取り組むとともに、型式指定に係る試験の効率化に向けた検討を行うこととしている。

⑦リコールの迅速かつ着実な実施・ユーザー等への注意喚起

 自動車のリコールの迅速かつ確実な実施のため、自動車メーカー等及びユーザーからの情報収集に努め、自動車メーカー等のリコール業務について監査等の際に確認・指導するとともに、安全・環境性に疑義のある自動車については、独立行政法人自動車技術総合機構交通安全環境研究所において技術的検証を行っている。また、リコール改修を促進するため、ウェブサイトやソーシャル・メディアを通じたユーザーへの情報発信を強化した。さらに、自動車不具合情報の収集の強化等のため、「自動車不具合情報ホットライン」についての改修を行った。なお、令和4年度のリコール届出件数は383件、対象台数は465万台であった。

 また、国土交通省に寄せられた不具合情報や事故・火災情報等を公表し、ユーザーへの注意喚起が必要な事案や適切な使用及び保守管理、不具合発生時の適切な対応について、ユーザーへの情報提供を実施している。令和4年度は、ブレーキホールドの正しい操作方法や誤った操作について動画を作成し、注意喚起を行った。冬季の冬用タイヤやチェーンの適切な使用については、季節に合わせた報道発表やツイッターを通じて、ユーザー等への注意喚起を行った。

【関連リンク】

自動車のリコール・不具合情報

URL:https://www.mlit.go.jp/RJ/

【動画】

正しく使おうブレーキホールド~正しい使用方法や注意点について~

URL:https://youtu.be/bJ0PRP1b5GY

⑧自動車の整備・検査の高度化

 令和2年4月に施行された「道路運送車両法の一部を改正する法律」により、高度な整備技術を有するものとして国が認証を与えた整備工場(認証工場)でのみ作業が可能な整備の範囲を拡大することで、自動車の使用者が安心して整備作業を整備工場に委託できる環境作りを進めている。具体的には、これまで「対象装置の取り外しを行う整備(分解整備)」がその対象であったのに対し、対象装置に「自動運行装置」を加えるとともに、取り外しは行わずとも制動装置等の作動に影響を及ぼすおそれがある作業を対象に含め、特定整備と改称した。

 また、「車載式故障診断装置を活用した自動車検査手法のあり方検討会」最終報告書を踏まえた、令和6年10月開始予定の新たな電子的検査を導入するための体制整備を進めている。

(6)被害者支援

①自動車損害賠償保障制度による被害者保護

 自動車損害賠償保障制度では、クルマ社会の支え合いの考えに基づき、自賠責保険の保険金支払いとともに、自動車事故対策事業として、ひき逃げ・無保険車事故による被害者の救済(保障事業)や、重度後遺障害者への介護料の支給や療護施設の設置・運営等(被害者保護増進等事業)を実施している。

 令和4年度には、被害者支援等を安定的・継続的に実施するため、「自動車損害賠償保障法」を改正した。本改正を踏まえ、被害者支援等のさらなる充実に取り組むとともに、自動車事故被害者への情報提供の充実、新たな仕組みに係る自動車ユーザーの理解促進にも取り組み、安全・安心なクルマ社会を実現していく。

②交通事故相談活動の推進

 地方公共団体に設置されている交通事故相談所等の活動を推進するため、研修や実務必携の発刊を通じて相談員の対応能力の向上を図るとともに、関係者間での連絡調整・情報共有のための会議やホームページで相談活動の周知を行うなど、地域における相談活動を支援している。これにより、交通事故被害者等の福祉の向上に寄与している。

(7)機械式立体駐車場の安全対策

 機械式駐車装置の安全性に関する基準について、国際的な機械安全の考え方に基づく質的向上と多様な機械式駐車装置に適用するための標準化を図るため、平成29年5月にJIS規格を制定した(令和5年5月 一部改正)。また、同年12月に社会資本整備審議会「都市計画基本問題小委員会都市施設ワーキンググループ」で、今後の機械式駐車装置の安全確保に向けた施策の具体的方向性についてとりまとめ、30年7月には、このとりまとめに基づく「設置後の点検等による安全確保」の推進に向けて、「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」を策定した。

 さらに、近年、機器等の交換が適切に実施されなかったことによる機械式駐車設備の事故が発生している状況をふまえ、令和3年9月に指針の一部見直しを行った。

  1. 注25 【参考】事業自動車事故調査委員会ウェブサイト
    https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/jikochousa/report1.html
  2. 注26 OBD(On Board Diagnosis)検査:自動車に搭載された電子装置の故障や不具合の有無の検査