国土交通省ロゴ

国土交通白書 2023

第4節 健全な水循環の維持又は回復

■1 水循環政策の推進

(1)水循環基本法に基づく政策展開

 「水循環基本法」(平成26年法律第16号)が令和3年6月に改正され、水循環における地下水の適正な保全及び利用が明確に位置付けられたことや、2年6月の水循環基本計画の改定以降に進んだ水循環に関する取組みがあったことを踏まえ、4年6月に水循環基本計画の一部見直しを行った。見直しに当たっては、政府が講ずべき施策として「地下水の適正な保全及び利用」の項目を新設するなど地下水に関する内容を充実させるとともに、流域治水、水循環政策における再生可能エネルギーの導入促進等に関する取組みを追加しており、見直し後の計画に基づき健全な水循環の維持又は回復のための取組みを進めている。

 また、令和4年6月、水循環基本法に基づき、「水循環白書」を閣議決定、国会報告した。「水循環白書」は、政府が水循環に関して講じた施策について、毎年、国会に報告するものであり、今回は、「地下水マネジメントのさらなる推進に向けて」と題し特集を組み、地下水に係る施策の変遷を振り返るとともに、地下水マネジメントの取組み状況と今後の展望についてとりまとめ、国土交通省による地下水データベース開発に関する取組み等を紹介した。

(2)流域マネジメントの推進

 流域の森林、河川、農地、都市、湖沼、沿岸域等において、人の営みと水量、水質、水と関わる自然環境を適正で良好な状態に保つ又は改善するため、流域において関係する行政などの公的機関、事業者、団体、住民等の様々な主体が連携して活動することを「流域マネジメント」とし、更なる展開と質の向上を図っている。

 令和4年度は、各地域の水循環に係る計画のうち4年8月に7計画、5年3月に5計画を「流域水循環計画」として公表した(5年3月時点で合計69計画)。

 財政的な支援として、平成30年度より、社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金の配分に当たって、「流域水循環計画」に基づき実施される事業を含む整備計画である場合には、一定程度配慮されることとなっている。

 流域マネジメントの更なる展開と質の向上に向けて、流域マネジメントの取組みのポイントを、具体事例を通して紹介した「流域マネジメントの事例集 人材育成・資金調達編」を令和5年3月に作成した。また、流域マネジメントに関する知識や経験を有するアドバイザーから、流域水循環計画の策定・実施に必要となる技術的な助言・提案等を行うことを目的とした「水循環アドバイザー制度」により、6つの地方公共団体への支援を実施した。