国土交通白書 2025
第4節 利便性の高い交通の実現
(1)都市・地域における総合交通戦略の推進
安全で円滑な交通が確保された集約型のまちづくりを実現するためには、自転車、鉄道、バス等の輸送モード別、事業者別ではなく、利用者の立場でモードを横断的にとらえる必要がある。このため、地方公共団体が公共交通事業者等の関係者からなる協議会を設立し、協議会において目指すべき都市・地域の将来像と提供すべき交通サービス等を明確にした上で、必要となる交通施策やまちづくり施策、実施プログラム等を内容とする「都市・地域総合交通戦略」を策定(令和7年3月末現在129都市で策定・策定中)し、関係者がそれぞれの責任の下、施策・事業を実行する仕組みを構築することが必要である。国は、同戦略に基づき実施されるLRT注2等の整備等、交通事業とまちづくりが連携した総合的かつ戦略的な交通施策の推進を支援することとしている。
(2)公共交通の利用環境改善に向けた取組
地域公共交通の利用環境改善や訪日外国人旅行者の受入環境整備を促進するために、LRT、BRT、キャッシュレス決済手段の導入等を支援している。
(3)都市鉄道ネットワークの充実
令和3年7月に取りまとめられた交通政策審議会答申「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」を踏まえ、東京メトロ有楽町線(豊洲~住吉)及び南北線(品川~白金高輪)の延伸について、6年に両線の工事の施行の認可を行い、東京メトロが工事に着手した。また、6年10月に財務省及び都が保有株式の50%を売却し、東京地下鉄株式会社は上場した。引き続き、利用者サービスの向上等を図るための完全民営化の促進等に向け、関係者とも連携して必要な取組を推進する。このほか、7年1月、大阪・関西万博のアクセスルートとなる大阪メトロ中央線(コスモスクエア~夢洲)が延伸開業した。
また、これまで大都市圏の鉄道において慢性的に続いていた通勤混雑は、新型コロナウイルス感染症の影響による生活様式の変化等により大きく改善したが、混雑状況が戻りつつあることから、誰でも安心して利用可能な快適な移動の提供のため、継続的に混雑対策に取り組むことが重要である。今後も、鉄道の利用動向を注視しつつ、社会全体の取組として、鉄道利用の時間的・空間的な分散・平準化を促すために必要な施策を検討する。これらにより、国際競争力の強化や豊かな国民生活に資する都市鉄道等の実現を図る。
(4)都市モノレール・新交通システム・LRTの整備
少子高齢化に対応した交通弱者のモビリティの確保を図るとともに、都市内交通の円滑化、環境負荷の軽減、中心市街地の活性化の観点から公共交通機関への利用転換を促進するため、LRT等の整備を推進している。令和6年度は、各都市において都市モノレール等の延伸事業や路面電車のバリアフリー化が進められるなど、公共交通ネットワークの整備等が進められている。
(5)バス・タクシーの利便性の向上
人口減少により利用者も減少する中、バス・タクシーを積極的に利用してもらうためには、利便性の向上が重要であり、バスの位置情報を提供するバスロケーションシステム、円滑な乗降を可能とするキャッシュレス決済等のシステム導入や、電気自動車の導入等によるクリーンかつ快適な利用環境の提供を促進している。
また、高齢者や障害者、大きな荷物を持った外国人旅行者等も含め、誰もが利用しやすいバス・タクシーの利用環境を整備するため、地域公共交通確保維持改善事業補助金や税制特例等を活用し、ノンステップバス・ユニバーサルデザインタクシー・福祉タクシー等の導入を促進している。
さらに、令和5年10月に取りまとめられた「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」に基づいて、タクシーへの複数アプリの導入の促進による実車率の向上、連節バスやジャンボタクシー等、輸送力の大きな車両導入の支援や観光スポットへの急行バスの導入による混雑緩和等に取り組んでいるほか、地方の観光地へのゲートウェイとなる地方空港や駅等の利用環境の刷新に資する取組を支援し、二次交通手段等へのアクセス性の向上を促進している。
- 注2 Light Rail Transitの略で、低床式車両(LRV)の活用や軌道・電停の改良による乗降の容易性、定時性、速達性、快適性等の面で優れた特徴を有する次世代の軌道系交通システム。