国土交通白書 2025
第4節 健全な水循環の維持又は回復
(1)水質浄化の推進
水環境の悪化が著しい全国の河川等においては、地方公共団体、河川管理者、下水道管理者等の関係機関が連携し、河川における水質浄化対策や下水道整備による生活排水対策等、水質改善に取り組んでいる。
(2)水質調査と水質事故対応
良好な水環境を保全・回復する上で水質調査は重要であり、令和5年は一級河川109水系の1,086地点を調査した。また、市民と協働で水質調査マップの作成や水生生物調査等を実施した。
油類や化学物質の流出等による河川の水質事故は、令和5年に一級水系で627件発生した。水質汚濁防止に関しては、河川管理者と関係機関で構成される水質汚濁防止連絡協議会を109水系のすべてに設立しており、水質事故発生時の速やかな情報連絡や、オイルフェンス設置等の被害拡大防止に努めている。
【関連リンク】
令和5年全国一級河川の水質現況(令和6年7月9日発表)
URL:https://www.mlit.go.jp/river/toukei_chousa/kankyo/kankyou/suisitu/r5_suisitu.html
(3)閉鎖性海域の水環境の改善
東京湾、伊勢湾、大阪湾を含む瀬戸内海等の閉鎖性海域では、陸域からの汚濁負荷量は減少しているものの、藻場・干潟の消失による海域の浄化能力の低下等により、依然として赤潮や青潮が発生し漁業被害等が生じている。
また、漂流ごみ・油による環境悪化や船舶への航行影響等が生じている。このため、海洋環境整備船による漂流ごみや油の回収を行うとともに、漁業者等の関係者と連携しつつ、海域環境の改善を図っている。あわせて、海洋環境整備船を設計標準化することで地域間の相互補完機能の強化を図り、災害対応力の向上を目指す。
加えて、きれいで豊かな海を取り戻すため、①汚泥浚渫、覆砂、深掘跡の埋め戻しによる底質改善、②藻場・干潟の再生や生物共生型港湾構造物の普及による生物生息場の創出、③海洋環境整備船による漂流ごみ・油の回収、④下水道整備等による汚濁負荷の削減、⑤多様な主体が連携・協働して環境改善に取組む体制の整備等の取組を推進する。また、大阪湾においては、これらの取組を引き続き推進するため、令和6年6月に大阪湾再生推進会議において「大阪湾再生行動計画(第三期)」を策定した。
(4)下水道における戦略的な水環境管理
豊かな海の再生や生物の多様性の保全に向け、近傍海域の水質環境基準の達成・維持等を前提に、冬期に下水放流水に含まれる栄養塩類の濃度を上げることで不足する窒素やリンを供給する、栄養塩類の能動的運転管理を進めている。合流式下水道の改善は、令和5年度までに全国一律の基準の達成に向けた緊急改善対策が完了しており、引き続き地域の望ましい水環境の創造に向け、水域の特性や水環境へのニーズ・利用用途に応じた改善対策の強化を進めている。
このような、豊かな海等、水環境に対する新たなニーズの高まりに加え、人口減少社会への対応や脱炭素社会への貢献等、下水道における水環境施策が大きな転換期にあることを踏まえ、望ましい水環境管理のあり方について検討を行っている。
