国土交通白書 2025
第4節 健全な水循環の維持又は回復
(1)水道の基盤強化に向けた改正水道法に基づく取組の実施
水道は、災害時においても安定した給水を確保することが求められるライフラインであり、その普及率は2023(令和5)年度末時点で98.2%に達している。一方で、その多くが高度経済成長時代の1970年代に集中的に整備されたものであり、施設の老朽化や管路の耐震化の遅れ、人口減少等による料金収入の減少といった課題に直面しており、また、多くの水道事業者が小規模で経営基盤が脆弱であり、計画的な更新のための備えが不足している状況にある。
このような状況を踏まえ、2013(平成25)年3月に新水道ビジョンを策定し、「安全」、「強靱」、「持続」の3つの観点から、取組の目指すべき方向性を示した上で、各種施策の推進を図ってきたほか、水道の基盤強化を目的とする「水道法の一部を改正する法律」(平成30年法律第92号)が2018(平成30)年12月6日に成立し、2019(令和元)年10月1日から施行されている。この改正水道法により、国は、広域連携の推進を含め、水道の基盤強化のための基本方針を定めることとされるとともに、都道府県は、水道事業者等の広域的な連携を推進するよう努めなければならないものとされ、水道基盤強化計画を定めることや広域的連携等推進協議会を設けることができることとされた。
また、水道事業者等の置かれた状況に応じ、長期的な視点に立って、優れた技術、経営ノウハウを有する民間企業や、地域の状況に精通した民間企業と連携することは、水道の基盤強化を図る上で有効な選択肢の一つである。国土交通省では、PPP/PFI推進アクションプラン(令和6年改定版)において導入拡大を図ることとなっているウォーターPPPも含め、先進的に官民連携に取り組んでいる事例の紹介や、「水道分野における官民連携推進協議会」の開催等により、官民連携の取組を支援している。さらに、水道施設等の適切な資産管理を進める観点から、改正水道法において、水道事業者等に対し、水道施設を良好な状態に保つため、水道施設の点検を含む維持・修繕の実施に関する規定に加え、水道施設台帳の作成・保管に関する規定を設けている。
また、水道施設の計画的な更新や事業の収支見通しの作成・公表に関する努力義務規定を設けている。国土交通省では、これらに関連する指針やガイドラインの作成・公表等を行い、適切な資産管理を推進している。加えて、水道事業に対する国民の理解増進を図るべく、水道事業経営等についてわかりやすくまとめたパンフレットを作成し、国土交通省ホームページに掲載している。
(2)全ての国民が安心しておいしく飲める水道水の供給
国土交通省では、環境省と連携し、安全で良質な水道水の確保を図るため、水道事業者等における水安全計画の策定や、クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原生物の対策指針等に基づいた対策の徹底を促進するとともに、貯水槽水道の管理水準の向上に向けた取組を促進している。
令和6年度においては、水道におけるPFOS及びPFOAに関する全国調査を行うとともに、水道事業者等がPFOS及びPFOAに対応する際、参考となる資料を提供するため、「水道事業者等によるこれまでのPFOS及びPFOA対応事例について」を公表した。
(3)東日本大震災からの復興に関する取組
東日本大震災に伴い、累計で約257万戸に及ぶ大きな断減水が発生した。津波の被災地域や東京電力福島第一原子力発電所の事故による帰還困難区域を除いては復旧がおおむね完了し、復旧未完了地域についても、国土交通省や県、水道事業者、公益社団法人日本水道協会等の関係団体から構成される「東日本大震災水道復興支援連絡協議会」において、現地の課題や支援ニーズの把握に努め、早期復興に向けた取組を支援している。