平成3年度 運輸白書

第4章 貨物流通の円滑化

第3節 物流拠点の整備

    1 物流拠点の整備
    2 製品輸入等の増大への対応
    3 トランクルームサービスの充実


1 物流拠点の整備〔2−4−1図〕
 近年における物流の量的な増大や質的な高度化に対応して、倉庫、トラックターミナル、配送センター等物流拠点の拡充が求められている。
 また、従来からの保管、荷捌き等の機能に加えて、ラベル貼り、組立・さい断等の流通加工機能、高度の情報処理機能、商品の展示機能等を備えた近代的な物流拠点や、これらの機能に加え、さらに複数の物流事業者が共同で利用する研修施設等を備えた複合的物流拠点の整備に対する要請も強い。こうした物流拠点の整備が進むと交錯輸送の排除、情報の集中管理等を通じて物流の効率化が進むことになる。
 このため、運輸省としてはNTT株の売却益による無利子貸付け、課税の特例措置、開銀融資等によりこれら物流拠点の整備を支援している。
 さらに、若年労働者を中心とする労働力不足に対応するため、自動立体倉庫の整備等の省力化投資についても今後一層の促進を図ることとしている。

2 製品輸入等の増大への対応
(1) 航空貨物取扱施設の整備
 新東京国際空港における空港貨物は、2年度で137万トンと世界一の取扱量になっており、空港内外の混雑はますます激しくなっている。このため、緊急的な対策として空港内貨物地区における生鮮貨物二次仕分場の整備等を実施するほか、抜本的な対策として、第4貨物ビル及び第5貨物ビルを建設するとともに、空港外の貨物取扱施設である東京エアーカーゴシティターミナル(TACT)についてもその整備を促進している。
 また、関西国際空港については、本格的24時間運用可能空港の特性を活かしつつ貨物ターミナル地区の充実を図るとともに、アジア地域との結びつきの強さを勘案して国際的な中継機能を充実させていくこととしている。
 さらに、新東京国際空港への貨物の一極集中を緩和し、国際貨物流動の円滑化を推進するため国内での中継機能の拠点として、地方空港の活用を図っていくこととしている。
(2) 総合輸入ターミナル等の整備
 近年における我が国の産業構造の変化、国際的な水平分業の進展等に伴い、我が国の貿易環境は著しく変化し、港湾においては、コンテナ貨物を中心に製品、農産物等の輸入貨物が急速に増大するとともに、これに対応した物流施設の整備が求められている。また、日米構造問題協議においても輸入関係インフラの整備が求められており、世界経済の活性化および国際社会への貢献を図っていくうえからも、倉庫, 上屋の整備等を含む製品、農産物等の輸入促進体制の整備が重要な課題になってきている。
 こうした輸入貨物は、迅速な荷捌き・配送のほか、冷蔵、くん蒸等の機能を有する高度な保管, 流通加工や情報処理等の質の高いサービスを必要とする場合が多い。
 このため, 運輸省では, 主要な港湾において, NTT株の売却益による無利子貸付, 課税の特例処置, 現在, 東京湾, 大阪港及び名古屋港において, その建設が進められている。

3 トランクルームサービスの充実
 トランクルームサービスは、一般家庭の家財や企業がその企業の商品として扱う物品以外のもの、例えば磁気テープ、内部書類、参考資料としての書籍等を預かる事業であり、大都市圏におけるスペース不足、高価品の普及、海外赴任の増加等を背景に、急成長を続けている。このため、運輸省では一般利用者に対しトランクルームに関するわかりやすい情報提供等を行うことを目的として、3年3月に、トランクルームサービスのうち、一定の基準を満たすものについて「トランクルーム認定制度」を創設し, 利用者の利便の増進を図っている。この制度においては預かる物品に対応してそれに適した温度、湿度等を担保する性能を有し, サービス窓口が充実しているなどの要件を満たすものが認定を受けられることとなっている。
 また、トランクルームサービスのうち、企業の磁気テープや書類等を保管する事業はドキュメントビラ事業と言われているが、情報化の進展や事業所のスペース不足等に伴い最近特に成長が著しく 、注目されている。



平成3年度

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