平成4年度 運輸白書

第4章 運輸サービスの高度化・多様化を目指して

第2節 物流サービスの高度化・多様化

    1 宅急便
    2 トランクルーム
    3 ジャスト・イン・タイムサービス


1 宅急便
 家庭等からの小口貨物を迅速に配達する宅配便は、昭和58年以降急速に成長し、平成3年度における宅配便取扱個数は10年前の約10倍にもなっている。これは、家庭からの小口貨物の伸びに加えて、百貨店等からの商品の配達や企業間での製品等の配送、さらには通信販売の急成長に伴うその商品の配送等が増加していることに起因している。また、近年においては、定型的な小口貨物を取り扱うことにとどまらず、レジャー活動の分野ではゴルフバッグやスキーの板の配送が、食生活の分野では温度を数段階に設定して輸送できる保冷配送が登場している。また、昨今の海外旅行者の急増により、海外旅行者の手荷物や土産品を空港から自宅等に送ることができるサービスが大きく伸びている〔1−4−6図〕ほか、荷物の受取人側の時間的都合に対応した配送時間指定宅配や受取人が不在でも荷物を受け取ることができる宅配便用のポスト、さらには北海道・九州間といった長距離間において翌日配送を可能とする航空を利用した宅配便も導入されてきている。
 このほか、最近は、書類や図面の短時間配達に対するニーズが高まっており、道路交通混雑の激しい大都市を中心に二輪の自動車を使用して輸送を行う、いわゆるバイク便事業が急速に伸びてきている。

2 トランクルーム
 トランクルームは、一般消費者や企業を対象に家具、衣類、書籍、貴重品等の保管を行うサービスであるが、大都市圏における土地の高騰に伴うスペース不足の深刻化、海外赴任の増加等を背景に、近年そのニーズが高まっている〔1−4−7図〕

3 ジャスト・イン・タイムサービス
 生産形態の多品種少量化やコンビニエンスストアの急成長等生産活動や販売活動の変化に対応してジャスト・イン・タイムサービス(多頻度少量輸送)が発展してきた。このサービスは、@配送頻度の上昇、A配送ロットの小口化等をその特徴としており、豊かな消費生活の実現に大きく貢献している。
 しかし、最近、労働力不足、道路交通混雑、環境問題等といった物流をめぐる制約要因が顕在化してきている。このため、幹線におけるモーダルシフト、4年5月に可決・成立した中小企業流通業務効率化促進法等を活用した地域内物流の効率化等を推進し、一層の物流の効率化を進めることが求められている。また、労働集約的なサービスには相対的に高い運賃・料金を設定するなど、コストを反映した適正な価格体系の形成を図ることが必要である。この結果、非効率な面を含むような過度のジャスト・イン・タイムサービスは見直され、一方その本来の長所を生かした質の高いサービスの提供の確保が期待できる。



平成4年度

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