平成4年度 運輸白書

第1章 平成3年度の運輸の概況と最近の動向

第2節 施設設備の動向

    1 公共投資
    2 民間設備投資


1 公共投資
 (交通関係公共投資は増加)
 平成3年度の交通関係公共投資は、〔2−1−28表〕のとおりであり、総額12兆5,685億円、対前年度比(以下同じ。)5.4%増となっている。個別部門についてみると次のとおりである。
 〔鉄道〕
 鉄道全体では、4,632億円、19.8%増となっている。
 3年度の内訳をみると、日本鉄道建設公団(貸付線)は、元年度に着工した北陸新幹線(高崎・軽井沢間)の工事が本格化したこと、また、3年度には新たに東北新幹線(盛岡・青森間)、北陸新幹線(軽井沢・長野間)及び九州新幹線(八代・西鹿児島間)が着工したことにより、23.4%増の554億円となった。公営地下鉄は、東京都、名古屋市、大阪市等の工事が進捗したことにより、全体では18.5%増の2,603億円となった。営団地下鉄は、南北線の工事が進捗したことにより、31.8%増の1,095億円となった。公営ニュータウン鉄道は、横浜市3号線の工事が進捗したことにより、30.6%増の299億円となった。
 〔港湾〕
 港湾全体では、9,218億円、7.9%増となっている。
 3年度の内訳をみると、港湾整備事業は、大阪港、博多港等9港における外貿コンテナターミナルの整備、松山港、北九州港等10港における内貿ユニットロードターミナルの整備、東京港、大阪港等35港における港湾の再開発、和歌山下津港等3港における沖合人工島の整備、小名浜港、和歌山下津港等37港における公共マリーナの整備等を重点課題として事業を推進した。港湾機能施設整備事業等は、港湾関係起債事業、民活事業の強い整備要請を受け、42.6%増の1,509億円となった。海岸事業は、東京港、新潟港、津田港等297港で海岸保全施設の整備、神戸港、博多港等95港で海岸環境の整備が進められ、5.0%増の709億円となった。
 〔空港〕
 空港全体では、4,665億円、23.0%増と2年度の19.7%増に引き続き高い伸びびが続いている。
 3年度の内訳をみると、空港整備費は、3,577億円、32.3%増と高い伸びとなっているが、これは東京国際空港(羽田)沖合展開事業費の82.6%増と新東京国際空港(成田)2期工事費の39.6%増が大きく影響している。
 〔道路〕
 道路全体では、10兆7,170億円、4.0%増となった。

2 民間設備投資
(1) 民間設備投資の動向
 3年度の民間設備投資は、大蔵省「法人企業統計年報」によれば64兆1,606億円で、運輸・通信業が大きな伸びを示したこと等から、全体でも対前年度比(以下同じ。)11.7%増と大幅な伸びとなった。業種別の増加率をみると、製造業は4.9%増、非製造業は15.7%増となった。製造業では、ほとんどの業種が1桁の増加にとどまっており、特に一般機械はマイナスとなった。一方、非製造業では、運輸・通信業が大きな伸びを示したものの、不動産業及びサービス業はマイナスとなった。
(2) 運輸関連民間設備投資の動向
 (運輸関連民間設備投資は引き続き増加)
 「運輸関連企業設備投資動向調査」(原則として資本金1億円以上の3,046社調査)によると、3年度の運輸関連民間設備投資の実績額は、工事ベースで総額3兆6,026億円、13.9%増と、2年度に引き続き増加となった
〔2−1−29表〕。このうち、「運送業部門」は13.0%増で、航空運送業、内航海運業、鉄道業、トラック運送業等が増加、港湾運送業、外航海運業、倉庫業が減少となった。「製造業部門」は55.2%増で、造船業、鉄道車両製造業が増加、舶用工業が減少となった。「その他部門」は14.1%増で、港湾建設業、登録ホテル業等が増加、自動車ターミナル業が減少となった。
 (鉄道業、航空運送業の設備投資は活発)
 主な事業ごとにその設備投資動向をみると、鉄道業は、用地、構築物を中心に19.3%増となった。航空運送業は、地上施設、航空機用部品を中心に、トラック運送業は、ターミナル施設、自動車を中心に、航空関連施設業は、構築物、給油施設を中心に増加となっており、19業種中13業種が投資額を増加させた。
 一方、倉庫業は、用地、その他の倉庫は増加したものの、冷蔵倉庫、普通倉庫が減少したことに伴い7.5%減となった。
 (エネルギー対策、研究開発のための投資増加)
 3年度設備投資実績(工事ベース)を投資目的別〔2−1−30表〕にみると、「エネルギー対策のための投資」(161.6%増)、「研究開発のための投資」(42.4%増)、「公害防止設備及び環境整備のための投資」(24.2%増)、「合理化及び省力化のための投資」(22.6%増)等、全ての項目にわたっで増加している。また、シェアでは能力増強投資が約6割を占めている。
 (外部資金の増加)
 3年度設備投資実績を支払ベースでみると、3兆3,239億円、13.6%増となった。資金調達別には、内部資金が1兆5,288億円、1.5%増、外部資金が1兆7,951億円、26.3%増となっている。
 この結果、投資総額に占める外部資金の割合は54.0%、5.4ポイント増となり、その調達内訳では、外資(60.5%増)、政府系金融機関(41.3%増)等がシェアを伸ばしたのに対し、株式(51.2%減)のシェアが減少した〔2−1−31図〕
 (引き続き堅調な平成4年度投資計画)
 平成4年度の設備投資計画(工事ベース)〔2−1−29表〕は、総額4兆134億円、11.4%増と、3年度に引き続き堅調に推移している。主な事業ごとの投資計画をみると、鉄道業は、大都市圏における輸送力増強工事が進められていることから構築物等が増加し、1兆5,720億円、13.6%増、航空運送業及び航空関連施設業は、東京国際空港の沖合展開工事や関西国際空港の第1期工事が進められていることからターミナル施設及び地上施設等が増加し、それぞれ6,354億円、8.2%増、4,660億円、108.5%増と、高い水準の投資が計画されている。また、自動車ターミナル業、港湾運送業等でも活発な投資が計画されている〔2−1−32表〕
 また、投資目的別内訳をみると、「エネルギー対策のための投資」(206.7%増)が引き続き高い伸びを示しているとともに、「研究開発のための投資」(189.1%増)、「公害防止設備及び環境整備のための投資」(41.3%増)の伸び率が「能力増強投資」(17.6%増)の伸び率を上回っていることが特徴である。



平成4年度

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