平成5年度 運輸白書

第3章 貨物流通の円滑化
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第4節 物流拠点の整備 |
1 物流拠点の整備
2 輸入関連インフラの整備
- 1 物流拠点の整備
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近年、物流ニーズの高度化・多様化に対応するとともに物流の効率化を図るため、倉庫、上屋、トラックターミナル等の物流施設については、従来からの保管、荷捌き等の機能に加えて、ラベル貼り、組立・さい断等の流通加工機能、高度の情報処理機能、商品の展示機能等を備えるとともに、複数の物流事業者が共同で利用する会議施設等を備えた複合的物流拠点として整備を進めることが必要となっている。
このため、運輸省としてはNTT株の売却益による無利子貸付け、課税の特例措置、財政投融資等によりこれら物流拠点の整備を支援している。
また、物流ニーズの高度化・多様化に加え、貨物自動車交通の増加、物流関連施設の立地の広域化等を踏まえ、新たな視点からこれらの経済社会情勢の変化に対応した流通業務市街地の整備を促進していくため、5年11月に流通業務市街地整備の対象都市の拡大、立地規制の緩和、支援措置の拡充等を内容とする「流通業務市街地の整備に関する法律の一部を改正する法律」を施行することとしている。
更に、近年の労働力不足、環境問題等に対応するため、自動立体倉庫の整備等による省力化、特定フロンをしない冷凍設備の導入等を積極的に支援していくこととしている。
- 2 輸入関連インフラの整備
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近年における我が国の産業構造の変化、国際的な水平分業の進展等に伴い、我が国の貿易環境は著しく変化している。海上貨物については、最近の景気低迷を反映して伸び率が鈍化しているものの、製品輸入の増加に伴い輸入コンテナ貨物量が増加の一途をたどっており、これに対応して港湾における物流施設の整備が求められている。航空貨物については、輸入貨物の約9割が新東京国際空港及び大阪国際空港に集中していることや、航空貨物の増加により貨物取扱施設が狭溢化していることなどから、貨物取扱能力の一層の拡充を図ることが求められている。また、我が国の経常収支は膨大な黒字を記録しており、我が国が国際経済の発展に貢献していくためには、輸入の拡大を図ることが必要となっている。このような状況を背景に、現在、輸入に対応した港湾、空港等の輸入関連インフラの整備を促進し、輸入貨物の円滑な流通を確保することが緊急の課題となっている。
このため、運輸省では、港湾については、3年11月に閣議決定された第8次港湾整備五箇年計画に基づき、外貿コンテナターミナル、大型多目的外貿ターミナルに重点を置いた港湾整備を推進するとともに、主要な港湾において、NTT株の売却益による無利子貸付け、課税の特例措置、財政投融資等により、総合輸入ターミナルの整備を支援している。5年4月には名古屋港において名古屋港国際流通センターが、5年5月には東京港においてワールド流通センターが開業し、その他博多港等においてもその整備が進められている。また、空港については、3年11月に閣議決定された第6次空港整備五箇年計画に基づき、新東京国際空港及び6年9月の開港を予定している関西国際空港の整備を推進するとともに、新東京国際空港への貨物の一極集中を緩和し国際貨物流動の円滑化を推進するため、国内での中継機能の拠点として地方空港の活用を図っていくこととしており、そのため必要に応じこれら地方空港の整備を推進していくこととしている。
更に、4年7月に施行された「輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法」に基づき、港湾又は空港及びその周辺に輸入促進地域を設け、当該地城における輸入の促進に寄与する事業を支援し、輸入貨物の円滑な流通を図ることとしている。5年3月には、同法に基づき、りんくうタウン(関西国際空港対岸部)、神戸港等全国6地域についての計画を承認したところであり、今後、これらの地域における物流施設整備等を推進するとともに、各地において輸入促進地域の整備を促進していくこととしている。

平成5年度

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