平成6年度 運輸白書

第1章 平成5年度の運輸の概況と最近の動向
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第2節 施設整備の動向 |
1 公共投資
2 民間設備投資
- 1 公共投資
- (交通関係社会資本整備に当たっての基本的考え方)
運輸省としては、@国土の特色ある発展のために行われる高速鉄道、航空、海上輸送ネットワークの整備・高度化等による全国的な基幹的ネットワークの整備、A国際化のために行われる国際的な交流拠点となる空港、港湾の整備、B快適でうるおいのある生活環境の創出に向けて行われる地下鉄、港湾における緑地等の整備を中心に、交通関連社会資本整備について相互の関係を考慮しつつ従前以上に充実、効率化を図っていくこととしている。
(平成5年度の交通関係公共投資)
平成5年度の交通関係公共投資は、〔2−1−31表〕のとおりであり、総額17兆5,600億円、対前年度比(以下同じ。)12.7%増となっている。個別部門についてみると次のとおりである。
- (1) 鉄道
- 鉄道全体では、6,636億円、5.3%増となっている。
5年度の内訳をみると、日本鉄道建設公団(貸付線)は、北陸新幹線(高崎・軽井沢間)、東北新幹線(盛岡・青森間)、北陸新幹線(軽井沢・長野間)、九州新幹線(八代・西鹿児島間)、北陸新幹線(石動・金沢間)に加え、新たに、北陸新幹線(糸魚川・魚津間)の工事が着工するなど整備新幹線の工事が進捗したことにより、40.8%増の1,970億円となった。公営地下鉄は、東京都、名古屋市、大阪市等の工事が進捗したことにより、全体では1.2%増の3,254億円となった。営団地下鉄は、3.7%減の1,315億円となった。公営ニュータウン鉄道は、横浜市営3号線あざみ野・新羽間が4年度に開業したことから、70.1%減の97億円となった。
- (2) 港湾
- 港湾全体では、1兆2,795億円、16.4%増となっている。
5年度の内訳をみると、港湾整備事業は、神戸港、博多港等17港における外貿コンテナターミナルの整備、北九州港、塩釜港等23港における内貿ユニットロードターミナルの整備、長崎港、那覇港等39港における港湾の再開発、尼崎西宮芦屋港、宮崎港等61港における公共マリーナ等の整備、四日市港、広島港等33港と1湾における廃棄物海面処分場の整備等を重点課題として事業を推進した。
海岸事業は、東京港、新潟港、津田港等295港で海岸保全施設の整備、神戸港、博多港等95港で海岸環境の整備が進められ、2.8%増の798億円となった。
- (3) 空港
- 空港全体では、5,584億円、23.2%増となっている。5年度については、第6次空港整備五箇年計画に従い、4年度に引き続き三大空港プロジェクトを最優先課題として空港整備を推進した。
その内訳をみると、空港整備全体としては、前年度比32.5%増となっており、その主な要因としては、東京都からの東京国際空港の沖合展開用地買収による事業費の増加や、仙台、新潟、名古屋等一般空港における滑走路の延長・改良等のための事業費の増加が挙げられる。
また、航空保安施設については、4年度にピークをむかえていた航空交通流センター等の整備が、5年度においては一応の完了をみたことから、前年度比2.9%減となったが、今後も引き続きその整備を進めていくこととしている。
- (4) 道路
- 道路全体では、15兆585億円、12.4%増となった。
- なお、国土幹線交通網の構築、地域連携の強化及び地域開発の促進を目的とした交通関係社会資本の効果的整備に資するため、平成7年度も引き続き調査を行う予定である。
- 2 民間設備投資
- (1) 民間設備投資の動向
- 5年度の民間設備投資は、大蔵省「法人企業統計年報」によれば、46兆4,156億円で、運輸・通信業をはじめほとんどの業種で減少したことから、全体では対前年度比(以下同じ)19.3%減と大幅に減少した。業種別の増加率をみると、製造業は21.9%減、非製造業は18.1%減となっている。製造業では、全ての業種で2ケタの大幅な減少を記録しており、非製造業では、電気業が伸びを示し、運輸・通信業の減少幅も縮小したが、他の業種は20%以上の大幅な減少を示している。
- (2) 運輸関連民間設備投資の動向
- (5年度の運輸関連民間設備投資実績は5年ぶりに前年割れ)
「運輸関連企業設備投資動向調査」(原則として資本金1億円以上の3,209社調査)によると、5年度の運輸関連民間設備投資の実績額は、工事ベースで総額3兆2,049億円、12.3%減と〔2−1−32表〕、平成4年度までの増加傾向が一転して大幅な減少となった。このうち、「運送業部門」は12.5%減で、国内旅客船業を除くすべての業種が減少となった。「製造業部門」は28.2%減で、造船業、鉄道車両製造業、舶用工業の3業種すべてが減少となった。「その他部門」は9.0%減で、自動車道業、航空関連施設業が増加し、登録ホテル業、自動車ターミナル業、港湾建設業は減少となった。
(航空運送業、登録ホテル業等が大幅減少)
主な事業ごとにその設備投資動向をみると、航空運送業は、航空機用部品が増加になったものの、航空機、地上施設を中心に30.2%減、登録ホテル業は、構築物が増加したものの、新築、用地を中心に37.3%減となっており、20業種中17業種で投資額が減少した。
一方、航空関連施設業は、構築物、空港施設を中心に17.6%増となった。
(研究開発のための投資を除く全ての投資が減少)
5年度設備投資実績(工事ベース)を投資目的別〔2−1−33表〕にみると、運輸業全体では、「研究開発のための投資」(48.1%増)を除く全ての項目にわたって減少している。また、シェアでは能力増強投資が約6割を占めている。
(内部資金及び外部資金共に減少)
5年度設備投資の資金調達の実績をみると、3兆2,104億円、9.6%減となった。資金調達別には、内部資金が1兆3,055億円、17.4%減、外部資金が1兆9,048億円、3.2%減となっている。
この結果、投資総額に占める外部資金の割合は59.3%、3.9ポイント増となり、その調達内訳では、社債(5.7ポイント増)、政府系金融機関(1.1ポイント増)等がシェアを伸ばしたのに対し、民間金融機関(2.8ポイント減)、外資(0.3ポイント減)、株式(0.2ポイント減)のシェアが減少した〔2−1−32表〕は、総額2兆9,651億円、7.5%減と、前年度割れとなった。主な事業ごとの投資計画をみると、鉄道業は、JR、その他民鉄とともに輸送力増強等に伴う構築物等への投資が増加したことにより、1兆4,309億円、7.4%増、航空運送業は、航空機等に対する投資の増加により、3,635億円、12.6%増となっている。このほか、造船業、自動車道業の投資計画額が増加している。その他は全ての業種で投資計画額が減少している〔2−1−35表〕。
また、投資目的別内訳にみると、「サービス改善のための投資」(9.7%増)、「公害防止設備投資及び環境整備のための投資」(21.4%増)については、増加しているものの、その他の目的については全て前年度比マイナスを示した。

平成6年度

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