平成6年度 運輸白書

第3章 貨物流通の円滑化

第3節 積合せ輸送の推進

    1 都市内・地域内における物流効率化の必要性
    2 地域共同集配システムの構築


1 都市内・地域内における物流効率化の必要性
 トラック輸送に依存せざるを得ない都市内・地域内においては、近年の自動車交通量の増加に伴う環境問題や道路交通混雑等の深刻化に対処するため、トラックによる輸送効率の向上を図ることが不可欠となっている。しかし、自家用トラックは、複数荷主の貨物の積合せができないことや、片道輸送が多いことから、積載効率が低くなる場合が多く、近年でも、自家用トラックの積載効率は、営業用トラックに比べて大きく低下している状況にある。
 このため、荷主企業を含めた関係者が、営業用トラックによる積合せ輸送を推進するなど、地域内物流の効率化のための積極的な取り組みが必要である。
 このため、運輸省では、4年10月より施行された中小企業流通業務効率化促進法に基づき、中小企業者たる運送事業者や荷主等が共同で実施する荷受け、保管、流通加工や輸送等の流通業務効率化事業に対する支援を行っており、これまでに土浦総合流通センター等3協同組合の効率化計画について認定を行っている。
 また、積合せ輸送の拠点となる共同配送センター等について、日本開発銀行等による融資や税制優遇措置を活用し整備を推進している。

2 地域共同集配システムの構築〔2−3−1図〕
 都市内の商業・業務機能が高度に集積した地域においては、貨物積卸しのための駐停車の増加により、道路交通混雑が深刻化し、集配効率が著しく低下するなど、物流に係る制約要因が特に顕在化している。このため、一部の地域においては、関係者が共同で集配作業を行う共同集配システムの導入に向けた試みが行われてきている。しかし、都市内における地価高騰のため共同集配拠点の用地確保が困難であること、関係運送事業者間の営業上の利害調整が困難であること等の問題もあって、十分な広がりをみせていないのが現状である。
 このような背景のもと、地域内物流効率化の推進に向けた総合的な行政施策の検討を行うことを目的として、5年11月、運輸大臣は、「地域内物流の効率化のための方策について」を運輸政策審議会に諮問し、審議の結果、6年3月に答申が取りまとめられた。
 答申では、都市内・地域内物流問題の解決に資するためには、地域の荷主や運送事業者等の関係者の協力を得て共同集配システムを構築することが有効な手段であるとしたうえで、国、地方公共団体等がシステムの構築に積極的に参画するとともに、事業採算性の確保、集配拠点用地の確保のための支援策や、駐停車、荷捌きスペースの確保等の地域環境の整備方策を総合的に講じていく必要があるとされている。
 運輸省では、この答申を受け、物流をめぐる制約要因が顕在化している地域において、共同集配システムの構築を始めとした地域内物流の効率化に向けた推進体制を整備するなど、地域内物流効率化施策の具体化に向けた支援を行うこととしている。



平成6年度

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