平成7年度 運輸白書

第11章 運輸における地球環境問題等への取り組み

第3節 国連海洋法条約締結に向けた取り組み


 平成6年11月に発効した国連海洋法条約は、領海、公海等既存の国際条約により規律されていた分野に加え、排他的経済水域、国際航行に使用される海峡、深海底、海洋環境の保護及び保全、海洋の科学的調査等の新たな規定を設けており、海洋の利用に関する問題一般を包括的に規律するものである。
 従来、国際社会においては、海洋問題全般に関する成文の包括的なルールがなく、海洋の利用に関連して生じた問題については個別の条約や慣習国際法の解釈等によって対処してきた。今般の国連海洋法条約の発効により、締約国は同条約に基づく包括的な法秩序に参加し、その下で海洋に関する諸活動をより安定的・統一的に行うことができるようになった。このことは、海に囲まれ、海運、漁業、海洋開発をはじめとして海洋に依存するところの多い我が国にとって極めて重要な意義を有するものと考えられる。
 同条約のうち先進諸国が問題視していた深海底に関する規定を改善する向条約第11部に関する実施協定が平成6年7月に採択され、先進諸国を含む主要海運国の多くが近く同条約の締結に踏み切る見込みであることから、我が国としても、速やかに国際的な海洋の法的秩序に参画するべく、同条約の締結及びこれに伴う国内法令の整備を行う必要がある。
 運輸省としても、向条約締結の機会に、我が国周辺海域における取締りの体制整備の必要件等に関し、改めて検討を進めているところである。



平成7年度

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