平成7年度 運輸白書

第3章 変貌する国際社会と運輸
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第3章 変貌する国際社会と運輸 |
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第1節 国際交通サ−ビスの充実 |
1 我が国の国際運輸の状況
2 国際交通網の充実
- 1 我が国の国際運輸の状況
- 現在我が国の経済規模は、世界の15%以上を占めるに至っているが、運輸の分野においても、〔2−3−1図〕のとおり、我が国を中心とする国際運輸活動が世界に占めるウエイトは大きいものとなっている。
我が国の経済は、諸外国の人・物との円滑な交流による相互依存関係の深化に伴って発展してきたが、特に近年、円高の進行や経済摩擦の激化、これらに対応した日本企業の海外進出や国際分業の進展、内需主導型経済への移行等、我が国を取り巻く経済環境は大きく変化している。また、平成6年に1,358万人にのぼった海外旅行者は、今後さらに着実な増加が予想される。
こうした状況の中で我が国は国際交通網の整備や国際政策協調を進めるとともに、交通安全対策の実施、開発途上国への経済協力等を通じて日本の進んだ運輸技術・ノウハウの提供等の積極的な貢献を引き続き進めるなど、国際運輸の充実に努力していくことが求められている。
加えて、国連海洋法条約を締結し、国際的な海洋秩序に参画するため、体制の整備に努力する必要がある。
- 2 国際交通網の充実
- 国際定期航空輸送は国際的な人的交流及び物的流通を支え、その促進を図るために必要不可欠なものであり利用者利便に適切に対応した運航路線と輸送力を拡充していくことが重要な課題となっている。このため、航空協定の締結及び既存の航空協定の改訂等による航空関係の一層の拡充をめざして航空交渉を精力的に行っている。6年9月から7年8月までの間に14か国との間で計15回の協議を行い、中国、フランス等11か国との間で乗り入れ地点の追加、輸送力の増強等国際航空路線網の拡充に合意している。
国際不定期航空については、地方空港の国際化を促進する観点から国際旅客チャーター便の運航を支援しており、6年度においては、全国37の東京、大阪以外の空港から約2,500便(片道ベース)の国際旅客チャーター便が運航されている。
海運については、我が国は「海運自由の原則」を政策の基本として、OECD、WTO、UNCTAD等の国際機関における活動に参加するとともに、米国、EU等と海運政策の調整及び意見交換を行ってきている。また、近年のアジア海運の発展を踏まえ、アジア地域の海運当局者間で意見交換を行うため、7年6月に「第1回アジア海運フォーラム」を東京で開催する等アジア各国との対話を進めているところである。
二国間の海運関係については、中国、韓国等の近隣諸国との間で、二国間協議の実施等により両国海運企業が相互主義に基づき航路開設や営業活動の確保ができるよう努めており、その成果の一つとして韓国においては、7年1月から日韓貨物定期航路におけるウェーバー制(自国籍船への優先的な積付け制度)が実質的に廃止された。また、ロシアとの間では、7年4月から北海道(小樽、稚内)とサハリン(コルサコフ)間に定期フェリー航路が開設された。
また、国際的な相互依存関係の深化の一方で、各国間の競争が進んでおり、我が国においても国際交通網を支える必要な社会資本を確保するよう空港・港湾の整備を進めている。

平成7年度

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