平成7年度 運輸白書

第5章 観光レクリエーションの振興
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第2節 観光による地域の活性化 |
1 地域と観光産業の連携による国内観光の振興
2 観光資源の保護・活用を通じた観光の振興
3 魅力ある観光地づくり
- 1 地域と観光産業の連携による国内観光の振興
- (1) 観光立県推進地方会議の開催
- 観光の推進が地域の活性化、国民のゆとりある生活の実現、国際相互理解の増進等に大いに貢献することから、21世紀をめざして観光のより一層の振興を図るため昭和63年4月に「90年代観光振興行動計画(TAP90'S)」を策定した。
この行動計画は、中央及び選定された地域ごとに有識者からなる観光立県推進会議を開催し、官・民、中央・地方が一体となって観光振興に関する具体的施策を提言し、実行に移そうとするものである。
観光立県推進地方会議は、これまで12回開催されており〔2−5−1図〕、それぞれの地域の特性を生かした観光振興方策について活発な審議が行われ、会議での提言は、各地域の協議会等フォローアップ推進組織を通して、逐次実施に移されるなどの成果をあげている。
- (2) 地域伝統芸能等を活用した観光の振興
- 地域伝統芸能等(地域の伝統的な芸能及び風俗習慣)は、地域固有の歴史、文化等を色濃く反映したものであり、これを活用することは、地域の特性をいかした観光の振興を図るためには極めて効果的である。
そのため平成4年6月に成立した「地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律」に基づき、地域伝統芸能等を活用したイベントに対して支援を行っている。
また、(財)地域伝統芸能活用センターが7年5月26日から28日まで開催した「第3回地域伝統芸能全国フェスティバル(香川)」の支援を行った。
- (3) 旅フェア'95の開催等
- 「旅フェア'95」は、7年4月12日から16日まで、旅に関する総合的な情報の提供を行う旅の総合見本市として千葉県の幕張メッセで、地方自治体等が出展し開催された。近年、割高な国内旅行費用と急激な円高等により国内旅行が低迷し、国内観光の空洞化現象が進行することが懸念されているため、本フェアは、地域と旅行関連産業が連携し、旅の総需要の喚起を図ったものである。来場者も11万人を超え、大好評を博した。
また、割高な旅行費用と海外観光地との競争により需要が低迷している沖縄県について、受入側の地域と送客側の観光産業が連携して、共同で地域観光の発展方策について協議するため、デスティネーション開発協議会を設置・開催し、地域の観光需要の喚起を図っている。
- 2 観光資源の保護・活用を通じた観光の振興
- 地域固有の貴重な文化遺産や自然景観などの観光資源を保存活用していくことは、魅力ある観光地づくりのために欠くことができない要素である。
こうした観光資源の保護、継承のために、岐阜県白川郷合掌造り民家やトラストトレイン(SL列車)といった貴重な観光資源について保護・活用等の事業を行っており、これらの活動を通じて地域の特性をいかした観光の振興を図っている〔2−5−2図〕。
- 3 魅力ある観光地づくり
- (1) 観光基盤施設の整備
- (ア) 家族旅行村の整備
- 家族旅行村は、家族が恵まれた自然の中で手軽に観光レクリエーション活動ができるようキャンプ場、ピクニック緑地、スポーツレクリエーション施設、簡易宿泊施設等を整備するもので、現在、44地区において整備が終了し、3地区において整備が行われている。
- (イ) 国際交流村の整備
- 国際交流村は、国際観光モデル地区における外国人観光客の誘致の拠点として、外国人観光客に地域の自然、文化、歴史を紹介したり、伝統的生活文化を体験してもらうのための施設等を一体的に整備するもので、現在、10地区において整備が終了し、2地区において整備が行われている。
- (ウ) 家族キャンプ村の整備
- 家族キャンプ村は、国民の余暇活動の増大、自然志向の高まり等のニーズに対応するものとして、豊かな自然の中に手軽・低廉かつ快適に利用できる質の高いオートキャンプ施設(車をテントサイドまで乗り入れることのできるキャンプ場)を整備し、このキャンプ施設を滞在基地として周辺の観光レクリエーション施設等との連携を図るものであり、現在13地区において整備が行われている。
- (2) 総合保養地域の整備
- ゆとりある国民生活の実現と地域の振興を図ること等を目的とした総合保養地域整備法に基づき、7年3月までに総合保養地域の整備に関する41道府県の基本構想が承認され、各地域で自然環境の保全等に配慮しつつ総合保養地域の整備が進められている。

平成7年度

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