平成7年度 運輸白書

第9章 港湾・海岸の果たす役割の向上、高度化
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第9章 港湾・海岸の果たす役割の向上、高度化 |
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第1節 交流の進展と新たな地域開発への取り組み |
1 国際交流の進展に対応した国際物流の効率化
2 国内物流の効率化
3 港湾の果たす広範な役割
4 港湾を活用した地域振興への取り組み
- 1 国際交流の進展に対応した国際物流の効率化
- 製品輸入の増加、各国間の相互依存関係の進展や国際交流の増大等により、安定した国際物流を可能とする基盤の重要性は益々高まっている。さらに、物流の効率化を通じた安定的かつ低廉な生活物資の供給、産業の国際競争力の維持・向上を図るためにも、各地域の貨物需要に応じた国際海上コンテナターミナルの計画的配置が必要である。これにより、今後、急増するコンテナ貨物の一部は東京湾、大阪湾等以外の地方の夕ーミナルで扱われるようになり、荷主のターミナルまでの陸上輸送コストは相当削減されると見込まれる。
- 2 国内物流の効率化
- 輸送効率化への要請の増大、ドライバー不足、環境問題の激化等の変化の中で、貨物の集配送を担うトラック輸送と、幹線輸送を担う海上輸送とによる複合一貫輸送に対応して内貿ターミナルを計画的に整備し、主に中長距離の国内ユニット貨物の効率的な輸送を実現する必要がある。コンテナターミナルや内貿ターミナルの政策的配置等により、輸送コストの削減が図られるほか、CO2排出量の削減や長距離ドライバーの省労働力化等が期待される。
- 3 港湾の果たす広範な役割
- 港湾は物流拠点として地域の経済活動を支え、暮らしの足を確保し、港町文化を創造するなど、経済・社会にわたる広範な役割を有しており、その整備による効果は絶大である。例えば、経済的な効果としては、雇用の創出、所得の向上等があげられ、社会的な効果としては、物流・人流の夕ーミナル機能等を通した地域交流の促進、産業立地や観光開発の推進、親水緑地・海浜等の整備や環境改善等を通したアメニティの向上、下水処理場や廃棄物処理用地等の確保等都市機能のサポートなどがあげられる。このような大きな効果を生み出す港湾の役割を有効に発揮すべく施策を展開している。
- 4 港湾を活用した地域振興への取り組み
- 国土の均衡ある発展が求められている今日、港湾に付帯する、経済のみならず歴史、文化、観光などの資源を活かした交流による地域の自立的な発展が期待されている。その一環として、港湾と高規格幹線道路等とのネットワークの構築を進め、海の路を通した地域連携の推進、交流圏の形成を図るため、7年度より「にぎわい・交流海道推進調査」を実施している。本調査において、日本海沿岸地域の連携・交流、瀬戸内・海の路事業、港を活用した観光ネットワーキングの促進を図っている。
また、港湾の役割の向上を図るため、関連公共事業との連携を図りつつ、民間事業者のノウハウと資金力を積極的に活用した多様な機能を有する施設の整備や港湾開発のマスタープランづくり等を61年度より支援し、推進している。
さらに、新たな利用空間を創出する沖合人工島計画を推進するとともに、大都市圏を中心に臨海部において発生が見込まれる低・未利用地の再編等を積極的に進め、物流、産業、生活のために必要な空間を確保することにより、地域の振興に貢献していく。

平成7年度

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