平成7年度 運輸白書

第9章 港湾・海岸の果たす役割の向上、高度化

第2節 豊かな港湾環境創造と技術開発への取り組み

    1 環境と共生する港湾<エコポート>の実現 
    2 海岸環境の創造
    3 人と地球にやさしい港湾の技術開発をめざして


1 環境と共生する港湾<エコポート>の実現
 運輸省は、港湾整備において自然環境と調和し、アメニティ豊かな環境を創造する施策を積極的に推進することとし、環境と共生する港湾<エコポート>の実現に向けた具体的な取り組みを展開している。
 7年1月には、全国の港湾管理者に対し、@港湾計画における環境面の充実、A港湾環境計画の策定を求めることとした〔2−9−1表〕。これにより港湾管理者は、今後港湾計画において環境面の配慮、検討をより一層充実させるとともに、港湾所在市町村と協力して、港湾における環境施策を広く地域社会に明らかにするため、環境と共生する港湾の姿とその達成に向けたハード、ソフト両面にわたる諸施策の全体像を、「港湾環境計画」として策定し公表することになる〔2−9−1表〕
 また、7年4月に、エコポートとして全国の模範となる港湾を早期に形成するため、環境インフラの総合的な整備を重点的に行う「エコポートモデル事業」の対象港として、横浜港、堺泉北港、博多港を指定した。

2 海岸環境の創造
 優れた景観を有し、様々な生物が生息する豊かな空間としての海岸の価値が近年見直され、沿岸環境及び地球環境を保全する空間としての海岸や、海岸空間の利用の際に生態系や環境保全機能との調和を図り、自然と共生する海岸、また、日常的に海に触れることができ〔2−9−2図〕、地域の生活環境の向上に役立つ海岸など、質の高い海岸が求められている。このため、防災、環境、利用面が調和した良質で多面的な機能を持つ海岸保全施設や海岸環境の整備を計画的かつ重点的に推進していく。また、防災、環境・利用面にわたり優れた機能を有する砂浜については、近年消滅が著しいことから、その維持・復元・創出を積極的に図っていく〔2−9−2図〕〔2−9−3図〕

3 人と地球にやさしい港湾の技術開発をめざして
 4年6月に発表した「港湾の技術開発の長期政策」を達成するため、第9次港湾整備五箇年計画に合わせ中期的目標を示した「港湾の技術開発五箇年計画」を8年度から実施し、計画的、効果的に技術開発を推進する。
@ 大型港湾施設の建設工費の削減
 公共工事の建設費削減が強く求められているため、港湾の分野においても、特に大型の防波堤や護岸等を対象に、良いものをより経済的につくるための材料・工法等技術の開発を推進する。
A リサイクル材料の実用化
 港湾工事から発生する建設副産物については、原則として港湾内において再利用することを目標とし、港湾工事外で発生する産業廃棄物(石炭灰、スラグ等)についても、可能な限り港湾工事に活用することを検討し、それらの再利用に必要な技術の開発を推進する。
B 自然と共生する港湾の形成
 豊かで健全な海域環境の創造をめざして、生物が着生しやすい構造物やその材料、水底質の浄化に関する技術、閉鎖性水域における海水交換技術等の開発を推進する。
C 安全な港の形成  
 地震やそれに伴う津波等の自然災害に強い安全な港湾を形成するため、港湾構造物の耐震補強工法やその投資効果を定量的に評価する手法等の開発を推進する。
D 港湾機能の高度化 
 最近の取扱貨物量の増加や船舶の大型化による輸送の効率化、コンテナリゼーションに代表される荷役形態の変化、さらにはテクノスーパーライナーの実用化等の要請に対応して、コンテナターミナル等の港湾機能の高度化に向けての技術の開発を推進する。



平成7年度

目次