平成7年度 運輸白書

第9章 港湾・海岸の果たす役割の向上、高度化

第3節 港湾の管理と振興〜港湾振興とポートセールス〜


(1) 港湾の振興
 港湾の振興とは、従来の港湾を公物として管理する姿勢から、経営する姿勢への転換をめざす動きの一環であり、港湾の管理運営における積極的な展開策として、自港の利用を宣伝し、活性化を図ることである。具体的には、ポートセールス活動を始めとし、臨海部への企業誘致、文化・スポーツ・レクリエーション施設等の誘致、各種イベントの開催等による市民利用の促進、交流の働きかけ等が挙げられる。特に最近では、積極的に市民に親しまれる港づくりが進み、全国で年間にのべ5億人以上の市民が港湾に訪れており、港湾の振興活動を専門的に行う部署も設立され、港湾振興活動が積極的に展開されている。
(2) ポートセールス活動
 この振興策の代表例が、多くの港湾管理者が力を入れ始めているポートセールスである。一般的には、船舶や貨物の誘致のため、誘致の目標とする航路や船社の所在国に港湾管理者や港運事業者、商工会議所などの港湾振興関係者により構成されたミッションを派遣し、国内では背後圏域本社・支社機能の集中する都市、地元において説明会、見学会等を開催し、船社や荷主等を集めて当該港湾を利用するメリットの説明を行う、あわせて利用者のニーズを把握し、施設整備や管理運営の改善に反映させていくものである。ポートセールスは、主要8大港から始まり、最近では、物流の合理化やコストの関係から、各地の地方港とアジア諸国等の港湾との航路開設をめざす活動が各地で積極的に行われており、今後も地方においてコンテナを扱う多目的埠頭等の整備の進展を受けて、さらに活発に行われることが予想されている。
 港湾の振興は、以上のように、港湾管理者や港湾利用者を中心に地域の創意や工夫で進められているが、さらに今後は、これまでの取り組みを一歩進めて、一定の拡がりをもつ圏域内の港湾相互の連携と機能分担のもとに広域的な港湾振興が展開されていくことが求められていると考えられる。



平成7年度

目次