はじめに


 我が国の経済社会は、内外のめまぐるしい環境変化の中で、様々な課題に直面しており、政府全体として、いわゆる6大改革を通じ、21世紀に向け、経済社会システムを変革し、創造することにより、国民一人一人が将来に夢や目標を抱き、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できる社会の実現をめざしている。
 運輸省においても、このための施策に全力で取組んでいる。
 平成8年12月には、運輸事業に関する需給調整規制を原則廃止することとした。そのために必要となる環境整備方策等については、現在運輸政策審議会において審議が行われている。物流分野については、大競争時代に対応し、国際的に遜色のないサービス水準をめざす具体的な方策を取りまとめたものとして、9年4月に「総合物流施策大綱」が閣議決定された。また、国内外において関心が高まっている地球温暖化問題については、9年4月、運輸政策審議会において「運輸部門における地球温暖化問題への対応方策について」が取りまとめられた。
 今年度の運輸経済年次報告(運輸白書)においては、このような状況を踏まえ、第1部において、我が国経済社会を取り巻く環境の変化に伴う運輸の取組みをテーマとして取り上げることとした。
 第1章においては、国際、国内両面における環境の変化と運輸の課題を整理するとともに、規制緩和の実施状況と効果及び運輸関係社会資本の整備状況と効果について分析した。第2章においては、グローバリゼーションの進展に対応しつつ、国民生活の質的な向上をめざす運輸の取組み、地球温暖化問題への対応等環境にやさしい運輸をめざす取組み及び大競争時代に対応した効率的な物流体系の構築に向けた取組みについて述べた。第3章においては、国鉄長期債務の本格的処理に向けた取組みについて取りまとめた。